コミュニケーション障害という言葉を耳にしたことはありませんか?
人と話すことが苦手な方のなかには、もしかしたら自分はコミュニケーション障害かもしれないと感じている方もいらっしゃることでしょう。
そこで今回は、コミュニケーション障害とは何か、具体的な症状も交えながら解説します。
コミュニケーション障害かもしれないとお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。
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ぜひお聴きください。
コミュニケーション障害とは
コミュニケーション障害には、主に2つの意味があります。
1つは医学的な診断名が付いたコミュニケーションに関する障害のことです。
もう1つは、コミュニケーションを苦手な人を指す俗称としての表現です。
後者は必ずしも病気や障害ではないものの、コミュニケーションを苦手とする人を揶揄する意味で使用されます。
この2つの観点から、具体的にコミュニケーション障害の内容を確認していきましょう。
医学的な診断名としてのコミュニケーション障害
医学的な診断名としてのコミュニケーション障害には、次の5つの種類があります。
アメリカ精神医学会の『DSM-5』(『精神疾患の診断 統計マニュアル』第5版)において、それぞれ定義されています。
言語障害
言語の習得や使用が困難な状態を言語障害と呼びます。
使うことができる語彙や構文が限定されていることや、文章を上手くつなげて表現することが困難なことが特徴です。
語音障害
語音障害とは、言葉を明瞭に発声することが難しい状態のことです。
身体的な障害や神経学的な障害はないものの発声に困難があり、社会生活に支障が出るとされています。
小児期発症流暢障害
いわゆる吃音の症状が出ることを、小児期発症流暢障害といいます。
音声や音節を頻繁に繰り返すことや、不自然に延長すること、途中で途切れてしまうことなど、スムーズな会話が難しいという症状がみられます。
社会的(語用論的)コミュニケーション障害
表情や姿勢、音色などの非言語的コミュニケーションに何らかの支障があり社会生活に支障が出る状態のことを、社会的(語用論的)コミュニケーション障害と呼びます。
社会的(語用論的)コミュニケーション障害には、ユーモアやたとえ話を理解することが難しいという特徴もあります。
特定不能のコミュニケーション障害
上記の4つのコミュニケーション障害に近い症状があるものの、それぞれの診断基準に適合しないケースのことを特定不能のコミュニケーション障害と呼びます。
俗称としてのコミュニケーション障害
俗称としてのコミュニケーション障害とは、他人との意思疎通が苦手な状態や、そのような特徴を持つ人のことを指します。
そのほかにも、会話のやり取りが苦手で一方的に話してしまいがちな人や、ネガティブな発言に過敏に対応するような人も、コミュニケーション障害と呼ばれることがあります。
批判的なニュアンスを含む言葉なので、積極的に他人に使うことは避けた方がよいでしょう。
たとえば人と話すことが全般的に苦手な場合や、TPOに応じた振る舞いが苦手な場合などに、揶揄するようにコミュニケーション障害という言葉が用いられることがあります。
コミュニケーション障害の具体的な症状とは
それぞれのコミュニケーション障害に合致した症状としては、次のようなものがあります。
コミュニケーション障害で見られる症状
- 言葉を覚えて使うこと自体が困難である
- 使うことができる言い回しや表現にかたよりがある
- ある言葉を相手に伝わるように発声することが困難である
- 途中で詰まることなく流暢に話すことが困難である
- 相手の表情や抑揚から言外の意図を汲み取ることが困難である
- 身振りを交えながら気持ちを的確に表現することが困難である
医学的な診断名としてのコミュニケーション障害の場合、上記のような症状が強く表れることがあります。
社会生活に支障が出てしまうほどの症状が表れるため、気になる場合は専門の医療機関に相談をしましょう。
コミュニケーション障害そのものが原因ではない場合でも、発達障害や不安障害などが原因となっていることがあるため、1人で思い悩まずに積極的に相談するとよいでしょう。
また、俗称としてのコミュニケーション障害においても、「自分の気持ちを上手く表現できない」「相手の気持ちを上手く汲み取ることができない」といったケースはよく見られます。
コミュニケーションが上手くできず集団にとけ込めないような場合は、ストレスからうつ病を発症することもあるため、決して軽く考えることはできません。
コミュニケーション障害の診断が出ない場合でも、コミュニケーションに関する訓練を通じて、生きづらさや困り感が軽減するように取り組んでみるのもよいでしょう。
コミュニケーション障害の方に向いている仕事
コミュニケーション障害の方には、コミュニケーションの機会が少なくて済む仕事が向いています。
人との関わりが少ない仕事であれば、コミュニケーション面でのハンディキャップを感じる機会を減らすことができ、比較的スムーズに仕事を進められるでしょう。
また、コミュニケーションが苦手な人は、その裏返しとして集中して作業をすることが得意な傾向があります。
1人で黙々とする作業であれば、むしろほかの人よりも高い成果を上げることができるかもしれません。
以上を踏まえて、コミュニケーション障害の人に向いている具体的な仕事を紹介します。
- 仕事①配達員
長距離ドライバーや、ルート配達のドライバー、新聞配達といった配達員の仕事は、コミュニケーション障害を持っている人に向いています。
この仕事は体力が求められる側面がありますが、黙々と仕事をすることが求められるのでコミュニケーション障害の方でも働きやすいでしょう。
- 仕事②作業員
生産ラインでの検品や加工などのライン作業を行うような工場の作業も、コミュニケーション障害の人に向いているといえます。
人と接する機会が少なく黙々と作業を行うことが求められるので、コミュニケーションの負担を感じずに働くことができます。
- 仕事③清掃員
商業施設やオフィスなどで清掃作業を行う清掃員も、コミュニケーション障害を持つ人に向いている仕事です。
清掃中は1人で黙々と作業を行うため、コミュニケーションの負担を感じることは少ないでしょう。
- 仕事④警備員
施設警備や交通誘導など警備員の仕事も、コミュニケーション障害を持つ人に向いているでしょう。
警備員は、施設を巡回してパトロールを行うことや工事現場での交通誘導が主な業務です。
特にこのようなパトロールや交通誘導はコミュニケーションの負担が少なく、黙々と作業に従事できます。
- 仕事⑤プログラマー
プログラミングができる場合は、システムやソフトウェアを作るプログラマーになることもおすすめです。
システムエンジニアが作成する仕様書に従って、実際にプログラミングを行っていきます。
社交的なコミュニケーションが求められることは少なく、技術力が高いかどうかが重視されるため、コミュニケーション障害がある人でも十分対応はできるでしょう。
- 仕事⑥ライター
文章を書くことが好きな人は、ライターになることもよいでしょう。
ライターの仕事は、依頼された内容に沿ってWebサイトや雑誌などの掲載する文章を書く仕事です。
Webサイトに乗せる文章は在宅でリサーチをして書くことで対応できるケースが多く、コミュニケーション障害がある人でも対応が可能です。
- 仕事⑦コールセンター
意外かもしれませんが、コールセンターの仕事がコミュニケーション障害を持つ人に向いていることがあります。
コールセンターの業務には、電話受付のようにかかってきた電話に対応するインバウンド業務があります。
このインバウンド業務は、定型的な質問を淡々と処理することが求められるため、マニュアルに沿った応答ができれば十分対応できるのです。
言外の気持ちを読み解くことは苦手だが、発声や表現自体には問題がないという場合は、コールセンターの仕事にトライしてみるのもよいでしょう。
自分のコミュニケーション障害の特徴と上手に付き合っていこう
今回は、コミュニケーション障害の特徴や具体的な症状を中心にお伝えしました。
コミュニケーション障害は医学的な診断名としての意味と、コミュニケーションが苦手な人を揶揄する表現としての意味の2つがあります。
実際に何らかの障害や症状を持っているのかどうかは、その後の対処法にも影響するので、専門の医療機関の診断も受けながら慎重に確認することをおすすめします。
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