40代の引きこもりが増えている昨今、「40代の引きこもりは手遅れ?」「40代で無職期間が長いと就職はムリでは?」と思っている方もいるのではないでしょうか。
確かに40代の引きこもりから、すぐに就職するのは難しいかもしれません。しかし少しづつ社会復帰の準備をして、就労移行支援施設などに相談すると就職は可能です。
他にも就職の相談に乗ってくれる多くの施設があるので、利用してみてはいかがでしょうか。
この記事では、40代の引きこもりの現状と、就職が難しい理由を解説。引きこもりの状態から就職をするための準備や、就職について相談できる施設を紹介します。40代の無職で引きこもりの状態から、就職したい場合は、せひ参考にしてください。
40歳以上の無職で引きこもりの現状
ここでは、平成30年の内閣府の調査をもとに引きこもりの現状を解説します。まずは40歳以上の引きこもりの現状を理解して、どうやって社会復帰を果たすのか考えてみましょう。
引きこもりとは家庭に留まり続けている状態
内閣府が示す引きこもりとは、さまざまな要因で6ヶ月以上にわたって家庭に留まり続けている状態です。または、社会的参加を避けている状態も引きこもりです。
引きこもりの状態にある40歳以上は61.3万人
内閣府の調査によると、40~64歳で引きこもり状態にある人は61.3万人。40~64歳の間に、1.45%の人が引きこもりになるといわれています。男女別だと、女性よりも男性の方が多い傾向です。(参考:長期化するひきこもりの実態|内閣府)
引きこもりのきっかけは退職
ひきこもりになったきっかけは次のとおりです。
退職がきっかけで引きこもりになった人は69人中17人。次いで、人間関係がきっかけで引きこもりになった人が10人でした。仕事や人間関係が原因で、引きこもりになった人は多いようです。
40代以上の無職で引きこもりが多い原因
実は日本では、無職で引きこもりの人は若年層よりも40代以上に多いのです。
厚生労働省によると、15~39歳の引きこもりは推計54万1千人。それに対し、40~64歳では推計61万3千人とされています。ここでは40代以上の無職で引きこもりが多い原因について解説します。
40代からの就職が難しい
1年以上も無職で引きこもりの状態にあると、40代という年齢と長期間雇用されたことがない経歴が原因で、就職が難しくなります。実際に転職入職率が大幅に減少したり、未就業就職率が低かったりする点で、40代の就職の難しさがわかります。
転職入職率が大幅に減少
年齢別の転職入職者の状況は次のとおりです。
40代以降の転職入職率は、20代のころに比べると大幅に減少していることがわかります。女性よりも男性の減少の方が、目立つ印象です。
転職入職率とは、労働者の中に占める転職入職者の割合を指します。さらに転職入職者とは、入職者のうち入職前1年間に就業経験のある人を指します。
つまり年齢と共に転職入職率が低くなることから、40代以降は再就職が難しくなり、引きこもりになるリスクが高いと考えられます。
未就業就職率はさらに悪化
転職入職率よりも未就業就職率は、さらに悪化します。そのため引きこもりが長期化した場合は、さらに就職が難しくなると考えられます。入職前1年間に就業の経験がない者を、未就業入職者といいます。転職入職率と未就業入職率を比べると次のとおりです。
転職入職率 | 未就業入職率 | |
男性 | 4.5% | 3.2% |
女性 | 5.6% | 4.2% |
合計 | 5.0% | 3.7% |
男女ともに未就業入職率は、転職入職率を下回っていることがわかります。つまり、これまで働いてきた40代よりも、引きこもりを続けてきた40代はさらに就職が厳しくなるのです。40代以上になると引きこもりの悪循環に陥って、抜け出せなくなるといえます。
引きこもりの期間が長期化しているから
40代以上は、引きこもりの期間が長期化している点が無職の原因とも考えられます。40代以上の引きこもり期間は次のとおりです。
40代以上の引きこもりは、7年以上の長期に上る人が半数以上を占めます。引きこもりの長期化により、社会から貼られるレッテルが気になったり、二次的に精神症状が現れたりして、引きこもりを解決しづらくなります。
社会から貼られるレッテルが気になる
引きこもりが長期化するほど、他人の視線が気になり、ますます外に出られなくなります。無職であることを他人から「ダメなやつ」と思われはしないかなどの不安な気持ちが大きくなるのです。他人と関わりたくないため、引きこもるようになります。
二次的な精神症状が現れる
引きこもりが長期化すると、二次的な精神症状や問題行動を起こすことがあります。たとえば次のような精神症状が考えられます。
- 抑うつ症状
- 不眠
- 強迫症
- 対人恐怖
- 家庭内暴力
- 摂食障害
精神症状が現れた場合は、精神科医などの専門家の助けが必要になることもあるでしょう。
40代の無職で引きこもりが就職するための準備
40代の無職で引きこもりの状態から就職するためには、まずは生活のリズムを整えるとよいでしょう。次に身だしなみを整えて、就職活動の準備をしてみてください。ここでは、引きこもりから就職するための準備について解説します。
生活リズムを取り戻す
昼夜逆転の生活をしている場合は、まずは生活のリズムを整えた方がよいでしょう。生活のリズムを整える場合、概日リズム(サーカディアンリズム)を意識した行動を取るとよいといわれています。
サーカディアンリズムとは
サーカディアンリズムとは、人間が備える体内時計のことで、ホルモンの影響を受けます。
たとえばメラトニンやセロトニンといったホルモンの作用により、朝になると目を覚まし、夜になると眠くなります。サーカディアンリズムを整えると、夜間は決まった時間に眠くなり、朝はスッキリと目覚められるようになるのです。
サーカディアンリズムを整えるには?
サーディアンリズムを整えるためには、朝は日光を浴びて、日中は体を動かし活動的な生活をおくるとよいでしょう。
そして夜間は、デジタル機器から離れ、穏やかに過ごし、9時や10時など早めに床に就くようにしてみてください。就寝の1~2時間前にお風呂に入って、リラックスするのもおすすめです。
身だしなみを整える
就職するためには、身だしなみを整えることが大切です。面接などで面接官に与える第一印象は、就職できるかどうかを大きく左右します。相手に好印象を与えるために清潔感を出したり、社会性を示すために就活アイテムを揃えたりして身だしなみを整えてみましょう。
清潔感を出す
清潔感を出したり社会性が感じられるようにするには、次の点に注意してみてください。
- 男性の場合は、ヒゲを剃る
- 爪を切る
- 髪型を整える
- 女性は化粧をしてみる
外出しない場合でも、まずは習慣にしてみるとよいでしょう。
就活アイテムを揃える
就職活動に必要なアイテムは次のとおりです。
- 黒か紺色のスーツ(2つボタンのシングル)
- 白のワイシャツ
- ネクタイ(派手ではなく明るめの青や紺)
- 黒い靴
- 黒い靴下
- A4サイズのビジネス用カバン
就職活動で面接を受ける際の見た目は採用を左右します。そのため古いスーツは処分して、新調した方がよいでしょう。
40代の無職で引きこもりが就職する方法
40代の無職で引きこもりが就職する方法は、まずは就職をサポートする施設に相談することです。ここでは、次の施設を紹介します。
- ハローワーク
- 転職エージェント
- 就労支援施設
それぞれの施設について詳しく解説します。
ハローワークに相談する
ハローワークは、職業紹介を受けられる公的な施設です。求人の紹介や職業訓練に関する相談を受けられます。引きこもりの期間中に雇用保険の受給が終了した場合も、職業訓練に参加できる制度がある点も魅力です。
転職エージェントに相談する
転職エージェントは、企業と就職希望者を斡旋する民間企業運営のサービス。プロのアドバイザーが、就職のサポートを行ってくれます。
就職希望者に適した求人も提案してくれるため、どこに就職すればよいか分からない場合は相談してみるとよいでしょう。個別にマンツーマンのサポートが無料で受けられる点も魅力です。
就労支援施設に相談する
就労支援施設は障がい者が働ける場を確保して、知識や能力を向上させるための施設です。精神疾患を患っている場合や長期の引きこもりの場合は、就労支援施設に相談した方が適したサービスを受けられるでしょう。
また引きこもりを抱える家族でも相談ができます。18歳~64歳まで年齢に関係なく、サービスを受けられるため、40代以上でも相談しやすいでしょう。働くための知識やスキル習得をサポートしたり、仕事探しについてアドバイスしてくれたりします。
弊社「ケイエスガード」の就労支援について詳しく知りたい場合は、次の動画をご覧ください。
40代の無職で引きこもりでも手遅れではない
40代の無職で引きこもりでも手遅れではありません。引きこもりをはじめてから、長期間が経過している場合は、焦らずにゆっくり社会復帰を目指しましょう。
引きこもりが長期化して、就職が難しい場合は、就労移行支援施設に相談するのもおすすめです。ケイエスガードでは、40代以降の引きこもりの就職サポートに対応しますので、どうぞご相談ください。