統合失調症の多くは10~30代と若い時期に発症するため、統合失調症を抱えながらの就労の期間が長くなります。
しかし、統合失調症の症状や就労先の環境により仕事を続けるのが難しく、辛くなり離職してしまう方も多くいるのが現状です。
統合失調症の方が辛くならずに就労を続けるには働く環境の調整が重要で、病状の変化に対応しやすい職場を選ぶことが重要になります。
今回は、統合失調症の方が就労を続けるためのコツを解説していきます。
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統合失調症の方が働きづらさを感じる原因
統合失調症の方は病気や症状、働く環境など様々な理由で働きづらさを感じることがあります。
ここでは、統合失調症の方が働きづらさを感じる主な理由を解説します。
幻聴などの症状で仕事に集中しづらい
病状が落ち着いていても調子には波があり、調子が悪いと幻聴が聞こえて仕事に集中しづらいと感じる方は多いです。
統合失調症の方は光や音への感覚が過敏な方が多いので、周囲の環境が気になり仕事に集中しづらい場合もあります。
統合失調症の症状によって思うように仕事ができないことが、働きづらさを感じる原因の一つです。
認知力の低下で、業務の処理がうまくいかない
統合失調症の症状に認知機能障害があり、業務の処理がうまくいかない原因の一つとなっています。
障害される認知機能の具体的な内容は以下の通りです。
- 情報処理能力(情報を手早く正確に処理する能力)
- 理解力
- 判断力
- 記憶力
- 問題解決能力
どの能力も仕事を含めた社会生活には必要な能力であり、業務の処理がうまくできず辛くなり離職してしまうケースもあります。
認知機能障害の程度は個人差があり、その時の調子によって変化があるものなので、個々にあったサポートが得られる就労環境が望ましいです。
周囲に理解を得られにくい
職場の方の理解が得られず居づらくなり、離職するパターンも多いです。
統合失調症を発症し長期にわたると、意欲低下や周囲への関心が乏しくなるといった陰性症状が目立ってきます。
陰性症状は周囲から怠けている・やる気がないと誤解されやすく、評価や人間関係に影響が出る場合もあります。
統合失調症の方は対人関係が不得手な傾向にあり、人間関係がうまくいかず離職してしまう方は非常に多いです。
疲れやすい
統合失調症の方は緊張しやすい傾向にあるため、緊張が続くことで疲れやすさを自覚する人が多いです。
長期療養後に仕事に復帰した場合、体力が落ちて疲れやすさを自覚する方もいます。
統合失調症の方は調子が悪くなると夜の睡眠が不安定になりやすいです。
夜の睡眠が不安定になると、昼間に眠気が出て仕事に支障が出てしまいます。
緊張しやすい、療養による体力低下、睡眠の不安定さによって、疲れやすくなり働きづらさを感じてしまうのです。
変化に弱く、ストレス耐性が低い
統合失調症の方は元々ストレス耐性が低い方が多く、こだわりが強く変化に弱い傾向にあります。
仕事内容によって、変化が多く臨機応変さを求められる場合もあります。統合失調症の方は臨機応変に判断し、多くの情報を一度に処理することが苦手です。
状況に応じた判断や行動がうまくいかず、混乱し仕事に支障をきたしたり辛くなってしまう場合があります。
こだわりは決して悪いことばかりではなく、仕事環境によってはこだわりが長所となる場合もあります。
統合失調症の方が「働く」ことの意義
人が働くことには様々な目的があります。経済面だけでなく、働くことは達成感を得られるなどたくさんの意義があるものです。
ここでは、統合失調症の方が働くことの意義について解説します。
経済的に自立でき、自己効力感を高められる
自己効力感とは「自分ならできる」と思える力のことを言い、人生の満足度を高めるのに重要な力です。
統合失調症の方は病気によって自己効力感が低下している方が多いです。
自己効力感を高める要素については以下の通りです。
- 何かを達成すること
- ポジティブな言葉で褒められること
- 健康的な生活リズム
働くことは単に経済的な面だけの効果にとどまりません。
社会に参加することができ自分の力でお金を稼げた達成感や、働く中で人に感謝される経験をすることなどが自己効力感を高めるのに効果があるのです。
生活のリズムが整う
健康的な生活リズムの維持は、統合失調症の療養には重要です。
自宅療養ではどうしても生活のリズムが崩れがちになるので、働くことで生活のリズムが整う効果があります。
日中の程よい活動は、夜間の睡眠にも良い影響をもたらします。
人と関わる機会となり、居場所となる
統合失調症の方の多くは若い時期に発症するため、人間関係をつくる機会が得られなかった方が多くいます。
仕事を通して新たな出会いが生まれ、今まで得られなかった良い経験をすることもできて人として成長する機会になります。
理解のある職場環境であれば職場が自分の居場所の1つとなり、周囲から良い刺激を得ることができます。
統合失調症の方が就労を続けるコツ5選
統合失調症の方が就労を続けるには、仕事内容や働く環境が重要です。
無理をせずに働き続けられるコツを5つ紹介します。
変化が少なく、やるべき仕事が明確な業務である
仕事内容は変化が少なく、やるべき業務内容が明確な仕事を選ぶと良いです。
逆に人とのコミュニケーションが多く、マルチタスクが求められる仕事は避けた方が無難です。
具体的な仕事内容としては、軽作業や自分のペースでできる事務作業などが挙げられます。
周囲に病気への理解を得られる職場環境
周囲への理解が得られる環境であることは重要です。
就労前に自分の仕事上必要な配慮の内容や、得意なこと・不得意なことを伝え、理解を得ておくようにします。
調子が悪い時に当日欠勤や早退がしやすかったり、休息が取りやすいゆとりのある職場環境が望ましいです。
調子の悪いサインを知り、無理をしない
統合失調症に限らず、こころの病気は目に見えにくいので、かなり悪化するまで周囲に気付かれにくい特徴があります。
調子の悪いサインを知り、周囲に伝えておくことで周囲も配慮しやすくなります。
最初は良くても少し慣れてきたころに疲れが溜めてしまったり、無理をしてしまい調子を崩して離職してしまうケースが多いです。
元々統合失調症の方は緊張しやすく疲れやすいので決して無理をせず、勤務時間を短くしたり早めに休息をとることが仕事を長続きさせるコツです。
通院や内服を欠かさない
仕事が忙しくなってくると通院や内服がおざなりになってしまう方もいますが、通院と内服は絶対欠かさないようにしてください。
統合失調症の症状が悪化し入院まで必要になるケースで一番多いのが怠薬です。決して自己判断で薬を抜いたりやめてはいけません。
薬の影響で眠気があるなど仕事に支障がある場合は主治医に相談するようにしましょう。
就労支援を受け相談しながら就労する
一般就労だと、必ずしも疾患への理解や配慮が得られるとは限らないのが現状です。
働く環境や仕事内容によって、仕事が続けられるかどうかは大きく変わります。
統合失調症の方の特性を理解し、理解の得られる職場を選ぶには就労支援が有効です。
就労支援で自分に合った仕事を探して、相談をしながら就労することが長続きするコツです。
統合失調症の方の就労は「焦らず、無理しない」ことが重要
統合失調症の方は病気の特性上、仕事を続けるのが難しいと悩む方が多くいます。
最初は良くても段々辛くなって離職してしまうケースが多いので、焦らず無理をしない働き方を選ぶことが重要です。
統合失調症の方が長く働き続けられる職場を選ぶには、就労移行支援事業所の活用をお勧めします。
就労移行支援事業所は、精神疾患を抱えた方がスムーズに復職するのをサポートする施設です。
病院の診断書があれば無料で利用でき、専門スタッフに相談しながら就労をすすめることができます。
川崎駅から徒歩8分の就労移行支援「ケイエスガード」では、就労に関する無料の悩み相談を受け付けています。
統合失調症の方で仕事が続かず悩んでいる方は、是非この機会にご利用ください。