統合失調症の当事者には「疲れやすい」ことで困っている方が多くいます。
幻覚や妄想などに比べると地味にみえますが、疲れやすいことで生活や仕事に支障が出てしまうことは少なくありません。
統合失調症の疲れやすさの原因は病気や薬だけではなく環境による影響も大きいので、うまく付き合っていくことが大切になります。
この記事では統合失調症の方が疲れやすい理由と対策を詳しくお伝えします。
病気とうまく付き合いながら自分らしい生活を送るために、疲れやすいと悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
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ぜひお聴きください。
統合失調症の人が疲れやすい原因
統合失調症の方が疲れやすいと感じる理由はさまざまで、複合的になっている場合がほとんどです。
主な理由を以下で解説します。
不安や緊張を抱きやすい
病気の症状が影響して、不安や緊張から疲れを感じやすい状態にあります。
個人差がありますが、統合失調症の幻覚・妄想は被害的な内容が多いので、不安や緊張を感じやすいのです。
統合失調症の方は変化に弱いことが多く、健常者では気にならないような小さな変化でも反応することも影響しています。
人は不安や緊張が続くと、どっと身体が疲れてしまいます。
統合失調症の方はささいなことでも不安や緊張を感じやすいので、疲れを感じやすい状態なのです。
環境刺激に弱い
統合失調症の方は、環境から受ける刺激に弱いことも原因の1つです。
特に、音や光の刺激に過敏になる傾向があります。
健常者では気にならない程度の生活音や光でも、統合失調症の方にとっては不快に感じてしまうのです。
刺激といっても不快なものだけではなく、楽しいことによる刺激も要注意です。
楽しい場面だと苦手な環境刺激が多くても無理しやすく、後々まで疲れを引きずってしまう場合があるからです。
健常者よりも、環境刺激や対人関係による刺激に弱い傾向があることは知っておいてください。
人間関係が苦手
統合失調症の方は対人関係を苦手とする方が多く、人との関わりによって疲れを感じる方は少なくありません。
人との関わりに対する悩みは、元々の性格や病状、とりまく環境によって個人差があります。
家族とも関わりを避け引きこもりという場合もありますし、家族と友達とは問題なくても仕事などの複雑な対人関係になると、つまずいてしまうこともあるでしょう。
統合失調症の方は対人関係によって疲れを感じやすいので、人間関係を含めた環境調整がとても大切になります。
生活リズムが不安定になりやすい
病状や療養生活で、生活リズムが不安定になりやすいのも要注意です。
統合失調症の方は不調になると睡眠に影響が出る方が多く、不眠や日中の強い眠気を生じてしまいます。
療養生活中に不活動の時間が長くなると、体力が低下し疲れやすさに影響します。
しっかり睡眠をとり疲れをとることは、病状の安定にも非常に重要になります。
ある程度病状が落ち着いていれば、日中の活動と夜間の睡眠のバランスは意識して確保するようにしましょう。
認知機能の低下
統合失調症を発症して長期間になると、集中力や判断力、記憶力などの認知機能低下がみられる場合があります。
認知機能の低下により記憶力の低下だけではなく、目の前の出来事に集中しづらい・優先順位を判断し行動できないといった困りごとがでてきます。
そのため以前ならスムーズにできたことが思うようにできず、時間がかかってしまい疲れを感じてしまいます。
認知機能の低下によって生活や社会生活全般に影響がでるので、疲れを感じることも増えてきます。
疲れやすさへの対処方法
疲れやすい特性は変えられなくても、自分なりの工夫や対策を行うことで生活しやすくなります。
おすすめの方法を以下に紹介するので、疲れやすさと上手に付き合うヒントにしてください。
疲れを自覚したら刺激を避けて休む
疲れを感じた時は、心身にかなり負担がかかっているので意識して休むことをおすすめします。
音や光の刺激が少なく、1人でゆっくり休める場所を確保しておくとよいでしょう。
外出やイベントなどに出かけて楽しむのはとてもよいことですが、無理をしやすいので注意してください。
ゆとりのあるスケジュールを組み、休憩をこまめに取れるようにすると負担が少なくなります。
リラックスできる方法を取り入れる
アロマテラピーや温泉など、自分がリラックスできる方法を取り入れるのもよい方法です。
筋肉が緊張して凝りやすいので、緊張でこわばった身体をゆるめてあげると疲れも取れやすくなります。
色々な方法があるので、自分に合うリラックス方法を見つけてみてください。
専門家のサポートを受ける
統合失調症の方は判断力の低下が原因で、現状と本人の認識に差が生じてしまうことがあります。
そのため現実的ではない高いレベルで無理に頑張ろうとしたり、逆に能力以下のことしかできないと思い込んでやらなかったりすることがあります。
適切なサポートを受けることで安心感を得られ、病気と付き合いながら安定した生活を続けられます。
特に苦手なこととの付き合い方についてサポートを受けて学ぶことは、ストレスの軽減に効果的です。
得意を活かして自分らしく生活するのを実現するためにも、専門家のサポートを受けることをおすすめします。
夜間の睡眠を確保する
夜間の睡眠を確保することは、身体の疲れをとるだけではなく病状の安定に非常に大切です。
疲れやすくストレスに弱い傾向があるので、睡眠時間を削ると不調になりやすいので要注意です。
最近睡眠の質が悪い・最近よく眠れないという自覚がある場合は、病状悪化の注意サインの可能性があります。
自分で判断せず医師に相談して、薬や環境の調整を行うなどの対策をとることをおすすめします。
疲れやすさに配慮できる仕事を選ぶ
仕事を選ぶ際は自分の希望も大切ですが、疲れやすさに配慮してもらえる職場を選ぶことをおすすめします。
一般就労だと複雑なコミュニケーションを要求されたり、時には無理して仕事をする必要があったりすることがあります。
そのため疲労やストレスで病状の悪化をきたしやすく、仕事が長続きしないという悩みを抱える人が多いのです。
自分のやりたいことを優先して高いレベルの仕事を選んで挫折して、就労への自信をなくしてしまう方は少なくありません。
疲れにくい仕事を選ぶことは、病気と付き合いながら長期的に仕事を続けるためには重要です。
自分に合った方法で、疲れやすさと付き合うのが大切
統合失調症の方は、病気や障害の影響で健常者に比べて疲れやすさを自覚しやすい特徴があります。
疲れやすい特性を自覚し、時に専門家のサポートを受けながら適切な環境や活動を維持することがとても大切になります。
疲れるからと日中もなにもしないで引きこもってしまうと、体力の低下や生活リズムの不安定を招き逆効果です。
好きなこと・得意なことを活かして日中の活動を維持し、夜間はしっかり休んで疲れを取るようにして、病気と付き合いながら自分らしい生活を続けていきましょう。
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