興味のあることに対して、食事や睡眠を忘れるくらい没頭した経験はありませんか?
生活や身体の調子に支障がでるレベルで集中しすぎる場合、もしかしたら「過集中」かもしれません。
仕事の時に過集中になると、他の仕事がおろそかになる・集中が切れて燃え尽きてしまうといった困りごとが発生しがちです。
この記事では過集中のメリット・デメリットと、特性をうまく仕事に活かす方法を解説します。
過集中はデメリットばかりではなく、うまく付き合えば強みにできます。
集中しすぎてしまって困っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
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ぜひお聴きください。
過集中とはなにか
過度に集中しすぎて、日常生活や身体に悪影響をきたすことを「過集中」といいます。
発達障害のASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠陥・多動性障害)によくみられる特性です。
ひとたび過集中になると自分自身で止めるのは難しく、疲れも感じなくなります。
しかし身体は疲れているので、過集中が切れた後に虚脱という燃え尽き状態になってしまいます。
虚脱により生活に支障をきたすなど、つらい思いをしている当事者は少なくありません。
集中力の高さはメリットでもあるので、過集中は対策や環境しだいで強みに変えられます。
仕事中に過集中が起こりやすい状況と原因
大人の場合、過集中によって仕事に支障がでる場合が多々あります。
発達障害のタイプ別で、過集中を起こしやすい状況や原因のパターンを解説します。
ADHD(注意欠陥・多動性障害)の場合
ADHDは不注意なイメージを持たれがちですが、過集中も特性の一つです。
不注意や過集中は、どちらも集中力のコントロール障害が原因です。
また、興味のあることに対して我慢できない衝動性も過集中に影響します。
好きなことに過集中になる一方で、やるべき仕事には集中できないのです。
ADHDの場合は興味や関心のあることへの過集中を抑えられず、仕事にも支障がでてしまいます。
ASD(自閉スペクトラム症)の場合
こだわりの強さやルーティン化した行動によって、過集中になるケースが多くあります。
ごく限られた興味のあることを突き詰めようとするので、過集中になりやすいのです。
また、ルーティン通りに仕事をしようとこだわり過集中になる場合もあります。
もともとASDの方は休憩を取るのが苦手なこともあり、過集中になるとより疲れをためてしまいます。
限定された内容に過集中になる一方で、他の仕事がおろそかになりやすいのが問題です。
過集中のメリット
過集中による集中力の高さ自体は長所であり、具体的には以下のようなメリットがあります。
仕事の生産性アップ
高い集中力により、仕事の生産性をアップできるのは過集中の強みです。
周りに振り回されず全力で取り組むので、他の人より短い期間で高いクオリティの作業を完成できます。
細かいところも手を抜かないまじめな仕事ぶりに、職場から重宝されることもあります。
専門性を高められる
特定のことを突き詰められる力は、スペシャリストとしての適性があります。
興味関心の偏りは、逆にいえば興味関心のあることについてなら過集中もプラスの要素です。
そのため過集中のある方には、学者や研究者になって社会的に成功する方も多くいます。
過集中のデメリット
当事者自身で集中力をコントロールするのが難しいことで、さまざまな困りごとに直面してしまいます。
具体的な内容は以下の通りです。
集中が終わった後の「燃え尽き(虚脱)」
ずっと集中状態を続けると、反動で虚脱という燃え尽き状態になる場合があります。
過集中のあいだは疲れがたまっていても気づきませんが、集中が切れた後に一気に疲れがきて虚脱になってしまいます。
何もやる気にならない・ひどいと寝込むほどの体調不良になり、仕事に行けなくなることもあります。
虚脱からの回復には時間がかかるので、離職や引きこもりの原因にすらなりえるのです。
過集中の対象以外がおろそかになる
ほかのこととの切り替えができないので、必要な作業であってもおろそかにしてしまいます。
具体的には飲食や睡眠をとらず体調不良になる・仕事の期限を守れないといったことが問題です。
短期的には仕事で評価されるかもしれませんが、長期的にはバランスの悪さから低い評価を受けてしまいます。
仕事のコミュニケーションに支障が出る
必要なコミュニケーションがうまくできなくなるので、仕事自体や人間関係にも支障がでてしまいます。
ひとたび過集中になると周りが見えなくなるので、話しかけられても気づきません。
そのため報連相ができなくなったり、無視されたと誤解されたりします。
コミュニケーションの困りごとによって、職場の人間関係がうまくいかず離職してしまうこともあります。
過集中しやすい方の仕事術3選
長い目でみると、さまざまな困りごとを起こしてしまう過集中。
集中し始めると自分でコントロールできないので、あらかじめ対策を打っておくのをおすすめします。
作業と休憩の時間をあらかじめ区切っておく
作業する前にあらかじめ休憩時間を入れたスケジュールを組むと、過集中になりにくくなります。
自分の意思で集中は止められないので、タイマーで強制的に時間を区切るのは有効です。
人によって気づきやすい音が違うので、電子音や振動音など自分に合う音を選んでみてください。
また、先を予想して計画するのが苦手で、不安から頑張りすぎてしまう特性も過集中に影響しています。
やるべき内容が明確になると安心できるので、過集中を防ぐことにつながります。
スケジュールを組む時は、紙に書いておくと忘れにくくなるのでおすすめです。
食事と水分補給を意識する
食事と水分補給をしっかりとって、体調不良を防ぎましょう。
過集中になると空腹や喉の渇きに気づかず、そのまま作業を続けてしまいます。
対策として、近くに飲み物を置いておく・食事や水分補給をルーティンに組み込むなどが効果的です。
身体の健康を保つためには、食事と水分をしっかりとるのが基本になります。
周りからの理解・協力を得る
理解し協力してくれる人や環境をもつことは、過集中の方が仕事を続けるには不可欠といえます。
自分で集中が止められないので、声をかけてもらうなど周りの協力があると働きやすくなります。
また、過集中の困りごとに、仕事や対人関係で誤解されるということがあります。
理解のある職場なら働きやすくなり、長所である得意なことへのエネルギーを活かしやすくなります。
過集中のある方が仕事で活躍するには、周りの人や環境はとても大切です。
仕事の過集中に悩むなら就労支援の利用もおすすめ
過集中とは、集中しすぎて日常生活や身体に悪影響をもたらす状態です。
自分自身で集中のコントロールをするのが難しいので、長期的にみるとデメリットが大きくなります。
過集中とうまく付き合うには、以下の3点の対策をおすすめします。
- 作業と休憩の時間をあらかじめ区切る
- 食事や水分補給を意識する
- 周りの理解や協力を得られる環境で働く
過集中の方は得意なことへのエネルギーが高く、専門性を高められるという長所もあります。
長所を活かして仕事で活躍するには、自身でできる対策だけではなく周りの協力が不可欠です。
自分に合った過集中への対策や仕事を見つけたい方は、就労支援の利用をおすすめします。
就労支援なら、1人ひとりの特性に合わせた就労に向けてのサポートが受けられます。
ケイエスガードは、川崎市にある就労移行支援・就労継続支援B型事業所です。
好きなことややりたいことを活かした就労へのサポートが得意なので、自分らしく働くための近道になります。
特にIT関係に強いので、パソコンを使った仕事をしたい方には特におすすめです。
お弁当の支給もあり休憩がとりやすい環境なので、過集中で飲食を忘れがちな方へのサポートも得意です。
まずは短時間からのお試しも大歓迎ですので、気になる方はお気軽にご連絡ください。