アスペルガー症候群(以下ASD)の方は短期間で転職を繰り返したり、仕事への不適応を起こす方が少なくありません。
ASDの方が安定して働き続けるためには、自身の特性を理解するのと仕事選びが非常に重要です。
今回はASDの方が得意なこと・苦手なこと、得意を活かせる仕事を10個紹介していきます。
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ぜひお聴きください。
アスペルガー症候群(ASD)が仕事上でつまずく原因
ここでは、ASDの方が仕事上でつまずく原因をお伝えします。
自らの特性を理解すると、仕事や生活がしやすくなるので是非知っておいてください。
マルチタスクが苦手
ASDの方は、マルチタスクを要する仕事でつまづきやすい特徴があります。
ASDの方がマルチタスクが苦手な理由は以下の通りです。
- ワーキングメモリ機能※が弱い
- 全体より細部に注意が向きやすい
- こだわりから柔軟な変更ができない
※ワーキングメモリ機能:判断や行動に必要な情報を一時的に記憶し、必要な情報のみ残すように処理する機能。
ASDの方が特に苦手とするのは「電話対応しながら、聞いた内容を伝言する」業務です。
ASDの方は聴覚からの情報を処理することが苦手なので、避けた方がよいでしょう。
マルチタスクで抜けが目立つ場合は、メモやアラームなどでワーキングメモリを補助すると良いです。
職場の人間関係で孤立しやすい
ASDは他の人と考えや感情を共有する能力に障害があるため、職場の人間関係もうまくいかず孤立しがちです。
「空気が読めない」「余計なことや失礼なことを言ってしまう」ことから周囲が離れていってしまいます。
その一方で、何を話してよいか分からず雑談に入れない・周囲に無関心ゆえに孤立してしまうASDの方もいます。
社交辞令や社会的状況の理解も難しいのもASDの特徴です。
目上の人にため口をきいてしまう・冗談が通じず真に受けるなどの行動からトラブルになることも珍しくありません。
仕事や人間関係がうまくいかず、適応障害やうつ病など二次障害を起こすASDの方は非常に多いです。
こだわりが強く、臨機応変に動けない
こだわりが強く、臨機応変に動くのが苦手なのも特徴です。
優先順位の判断は他の人にゆだねる・優先順位を決めるマニュアルを用意する対策でカバーできる場合もあります。
報告・連絡・相談が苦手
ASDは全体像の把握が難しく状況も読めないので、報連相が苦手です。
対策として報連相の決まった型を作ってトレーニングする・上司や同僚と情報をこまめに共有しあうのが有効です。
報連相ができるようになると、仕事上でのミスはかなり予防できます。
仕事上のストレスを抱えやすい
ASDの方は感覚が過敏で疲れやすく、ストレスを溜めやすい特徴があります。
こだわり通りに進まないとストレスを感じたり、ささいな音や光などの感覚刺激でも疲れてしまうのです。
ストレス発散も苦手なので、ストレスを抱えて心身に不調をきたす人が少なくありません。
アスペルガー症候群(ASD)の仕事における強み
ASDには苦手なことばかりでなく、得意なこと・強みも存在します。
強みを活かすと仕事もうまくいきやすいので、是非仕事選びの参考にしてください。
優れた記憶力
ASDの方は、図や文字など視覚からの情報を覚えることが得意です。
ASDは大人になっても単純記憶(繰り返し見たり聞いたりして覚える力)が低下しにくいためです。
音などへの感覚過敏を持つ方も多く、感覚からの情報(音楽など)を記憶する力が高いのもASDの特徴です。
特定の内容への関心が強い
こだわりが強いので、特定の内容に強い関心を持つことができます。
ASDはパターンや法則を見つけるのが得意な特徴もあるので、特定分野で高い専門性を発揮し活躍する方も少なくありません。
繰り返しの作業が苦になりにくい
同じ作業を繰り返し行うのが苦になりにくく、飽きたり途中で投げ出したりせず真面目に取り組むことができます。
正確性も高く細かい所にまで気が付くので、仕事内容によっては重宝される存在になりえます。
性格に裏表がない
ASDの方は真面目で性格に裏表がない方が多いです。
周りにASDへの理解があれば、正直で裏表のない人として歓迎され社会で活躍している人もたくさんいます。
集中力が高い
面倒な作業や細かい作業でも、興味があることは最後まで取り組むことができる力をもっています。
ASDは集中力を発揮する範囲が狭く偏っているので、興味のある分野を仕事に生かすと活躍しやすいでしょう。
アスペルガー症候群(ASD)が得意な仕事10選
ASDの方はASDに向いてる仕事・特性への理解が得やすい仕事を選んで就職することをおすすめします。
ここでは代表的な仕事を10個紹介します。
清掃員
コミュニケーションが少なく、決められた仕事を行えばよいので清掃員は向いています。
真面目で細かい所に気が付くので、細部まで丁寧な仕事をしてくれるので重宝されるでしょう。
残業も少なく短時間から勤務できるので、疲れやすい特性があっても続けやすいです。
人と関わる業務の少ない事務
人と関わる業務が少なく、1人でコツコツ仕事ができる事務職はASD向きといえます。
ルーティン化している業務は、正確で決まりごとに忠実なASDの良い面が発揮しやすいです。
接客や電話対応が多い職場は避け、作業がメインの事務職を選ぶと良いでしょう。
経理関係の仕事
ASDは数字に強い方が多いので、経理事務などは向いている仕事の一つです。
細かい単純なチェック作業も、ASDの方は飽きずに集中して取り組むことができます。
正確で決まりごとは忠実に守るので、失敗や不正が許されない業務でも安心して任せられる存在になれるでしょう。
工場のライン作業
ルーティン作業の代表であるライン作業は、ASDに特におすすめです。
細かい所に気が付くので不良品などをいち早く見つけることができたり、飽きずに続けられる特性を十分に活かすことができるためです。
コミュニケーションをほとんど必要とせず、人間関係での悩みも少ない傾向にあります。
Webライター
好きなことへの知識が豊富なのを活かして、Webライターで稼ぐASDの方も多くいます。
在宅勤務ができて、マイペースに作業ができるメリットも大きいです。
文章を書くのが得意な方に特におすすめの働き方になります。
校正者
校正者は誤字脱字や接続詞の使い方のチェックを行うなど、文章の品質を高める仕事をする職業です。
集中力を要し正確性が求められる業務内容になります。
同じ文章を繰り返し読むのが苦にならず、視覚からの情報の記憶力が良いASDにとって得意とする業務内容といえます。
プログラマ―
プログラマーとして成功している方にはASDが多いと言われています。
数字に強く規則性やルールにこだわる特性が、良い面として発揮できる仕事の代表格です。
プログラミングに興味がある方は、挑戦してみることをおすすめします。
研究者
研究者もプログラマーと同じくASDの方が多く活躍する職業です。
研究対象へのこだわりから、高い集中力と好奇心を高く持ち続けることができるので成功しやすいのです。
研究者になるにはハードルが高いですが、特定の分野に高い能力を有するASDの方にはぴったりです。
翻訳者
ASDは文法や単語を覚えるのが得意なので、語学に堪能な方も少なくありません。そんな方には翻訳者の仕事がおすすめです。
通訳だと会話のスキルや臨機応変さが求められるので、ASDには辛い場面が多いです。
翻訳ならコミュニケーションも少なく、自分のペースで仕事がすすめられるのでASD向きの仕事といえます。
カメラマン・画家・音楽家など芸術系の職業
感覚を活かし、細部にまでこだわった芸術作品を作り出す「天才」にはASDが多いといわれています。
ASDの方が芸術系の仕事に就く際には援助者が必要な場合が多く、周囲の理解も必要になります。
アスペルガー症候群(ASD)の特性・得意を活かした仕事探しが重要!
ASDは大人になってから仕事が上手くいかなくて悩むことが多いです。
まずは自身がASDの特性を知り、不得意なことは周囲に助けを求められるようにしてみてください。
仕事上の問題点は当事者だけで解決するのは困難なので、周囲の理解や協力は必須といえます。
ASDの方は仕事選びや面接の時点でつまずく場合も多いので、特性に合わせ総合的にサポートしてもらえる就労支援の利用がおすすめです。
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