引きこもりから社会復帰するのは難しいといわれています。その理由は、仕事が引きこもりの原因だからかもしれません。
また引きこもりが長引くと、社会復帰が難しくなるというデータもあります。引きこもりを長引かせずに、早期に社会復帰することが重要です。
この記事では公的データをもとに、引きこもりから社会復帰が難しい理由を考察します。さらに、引きこもりから社会復帰を果たす方法についても解説。引きこもりから解放されるための方法がわかりますので、ぜひ参考にしてください。
引きこもりニートの社会復帰が難しい理由
社会復帰とは、仕事ができるようになった状態を指します。つまり引きこもりでニートの場合、仕事ができるようになると、社会復帰を果たしたことになります。
しかし引きこもりから、いきなり仕事をはじめるのは難しいかもしれません。ここでは引きこもりからの社会復帰が難しい理由について、内閣府の調査をもとに解説しますので、参考にしてください。
引きこもりになったきかっけは仕事だから
仕事の失敗などが原因で引きこもった場合、トラウマとなり社会復帰が難しいのかもしれません。実は仕事がきっかけで、引きこもりになった人の割合は多いのです。内閣府は69人の引きこもりの方に対して、引きこもったきっかけに関するアンケートを行いました。回答結果のうち、上位5項目は次のとおりです。
きっかけ | 人数 |
退職したこと | 17人 |
人間関係がうまくいかなかったこと | 10人 |
病気 | 10人 |
職場になじめなかったこと | 9人 |
就職活動がうまくいかなかったこと | 3人 |
下記に示すきっかけとなった項目は、仕事に関係しています。
- 「退職したこと」
- 「職場になじめなかったこと」
- 「就職活動がうまくいかなかったこと」
以上の仕事関係のきっかけを合計すると、29人に上ります。つまり、仕事がきっかけでひきこもった人は、全体(69人)の42%に上る結果です。
仕事に関する過去の失敗を引きづることで、なかなか就職には踏み出せずに社会復帰ができない方が多いのかもしれません。
さらに仕事には、人間関係が付きもの。人間関係についての悩みも、仕事に影響を受ける可能性があります。仕事に対する不安感が、引きこもりを抜け出せない理由と考えられます。
長期引きこもりは社会復帰が難しいから
引きこもりの期間が長いと就職の難易度が上がる可能性があります。なぜなら、年齢を重ねる上に、社会性も失われると考えられるからです。
内閣府は過去に引きこもりだった方を対象に、引きこもりの期間がどれくらい続いたのかを調査しました。その結果は次のとおりです。
ひきこもりの期間 | 割合 |
6カ月~1年 | 25.4% |
1~2年 | 17.9% |
2~3年 | 9.7% |
3~5年 | 8.2% |
7~10年 | 3.7% |
10~15年 | 4.5% |
15~20年 | 6.0% |
20~25年 | 3.7% |
25~30年 | 0.7% |
30年以上 | 6.7% |
無回答 | 3.0% |
引きこもりからの社会復帰を果たした人の割合は長期化するに従い、徐々に減少していることがわかります。つまり、引きこもりが長期化すると、社会復帰が難しくなると考えられるのです。
その一方で、30年以上の引きこもりから社会復帰した方も、6.7%存在します。長期間の引きこもりでも、社会復帰を果たせる可能性はあります。長期引きこもりからの社会復帰は難しいのですが、諦めなければ達成できる可能性は残されているのです。
70%以上が3年以上の引きこもりだから
早く社会復帰した方は、引きこもりから脱出しやすいのですが、現実には70%以上の人が3年以上引きこもっています。内閣府は47人の引きこもりを対象に「現在の状態となってどれくらい経ちますか」という質問を行いました。それに対する回答結果は次のとおりです。
引きこもり年数 | 割合 |
6カ月~1年 | 6.4% |
1~2年 | 14.9% |
2~3年 | 6.4% |
3~5年 | 21.3% |
5~7年 | 4.3% |
7~10年 | 10.6% |
10~15年 | 6.4% |
15~20年 | 10.6% |
20~25年 | 10.6% |
25~30年 | 2.1% |
30年以上 | 6.4% |
無回答 | 0% |
表から分かるのは、3年以上引きこもる人が、全体の70%以上も存在することです。長期間の引きこもり者が増えている状況から、社会復帰に踏み出せない人も多いことが予想できます。引きこもりが長引き年齢を重ねると、就職先も限られるようになり、社会復帰を果たしづらいのかもしれません。
引きこもりニートの社会復帰を阻む要因
ここでは、引きこもりが就職して、ニートからの脱却を阻む要因をお伝えします。
仕事上の人間関係によるストレス
内閣府の調査では、69人中10人が人間関係がきっかけで引きこもりになったと答えました。
人間関係は仕事のストレスに大きく影響します。平成19年の厚生労働省の調査によると、38.4%の人が職場の人間関係の問題でストレスを抱えていると回答しました。(参考:労働者調査|厚生労働省)
人間関係の要因は、仕事の質や量といった仕事の業務自体によるストレスを抑えて最も多い回答数だったのです。つまり、引きこもりに限らず、仕事上の人間関係にストレスを感じる人は多いのです。
そのため、人間関係に不安を抱えやすい引きこもりのニートは、仕事でストレスを抱えやすいため、なおさら社会復帰を果たしづらいと考えられます。
仕事に時間をしばられたくないという想い
仕事に時間をしばられたくない点も、引きこもりからの社会復帰が難しい理由として考えられます。
仕事をすると、1日8時間程度の労働が求められる上に、残業を強いられることもあります。引きこもりが長期化すると、自由に過ごせる時間が豊富にある状態に慣れます。その結果、仕事で時間を縛られることに、かなりの苦痛を感じるのかもしれません。
失敗することへの恐怖
就職に失敗に対する恐怖心で、社会復帰できない可能性もあります。内閣府の調査でも、引きこもりのきっかけとして「就職活動がうまくいかなかったこと」を挙げている人がいました。
さらに、Biz Hitsが2021年の4月から5月にかけて実施した調査によると、288人中59人が失業や転職先が決まらずにニートになったと答えています。
つまり、就職自体がうまくいかずにそのまま引きこもってしまった人がいることも予想できます。就職活動に関する過去の失敗を引きずってしまい、再び失敗するという思い込みが社会復帰を阻んでいるのかもしれません。
以上の引きこもりが社会復帰をできない要因を解決する手段として、支援サービスの利用が考えられます。
引きこもりの就職をサポートする就労支援サービス
就労支援サービスを利用すると、引きこもりからの社会復帰を阻む要因が解決する可能性があります。ここでは、次の就労支援サービスについて解説します。
- ハローワーク
- 引きこもり地域支援センター
- 就職支援事業所
ハローワーク
ハローワークは厚生労働省が運営する就労支援機関です。利用制限は設けられていないため、引きこもりやニートでも利用できます。ハローワークのスタッフに、相談することも可能です。豊富な求人の中から自分に合った就職先を探し、履歴書や職務経歴書を書いて応募します。
引きこもり地域支援センター
引きこもり地域支援センターとは、引きこもりの人が社会復帰できるようにサポートする施設です。本人から、あるいは家族からでも電話相談できます。
就職支援事業所
就職支援事業所は障害者や引きこもりの人に対して就労を支援する施設です。生活面や社会復帰のためのマナーなど、幅広くサポートして就職を支援します。重度の引きこもりや、精神疾患を持つ方の就労支援にも対応可能です。就職支援事業所をお探しの場合は、ケイエスガードにお問い合わせください。
引きこもりから社会復帰する方法
引きこもりのニートは社会復帰するために何からはじめればよいのでしょうか。ここでは、ひきこもりから社会復帰するための方法を紹介します。
生活リズムを整える
就職して社会復帰するためには、生活リズムを整える必要があります。まずは午前中に起きる習慣をつけるとよいでしょう。
引きこもりで昼夜が逆転している場合は、昼間に眠くならないようにすることが重要です。日中の活動を心がけ、仕事をこなせるだけの体力を取り戻しましょう。
身支度をして外出してみる
外出して人と関わることが大切です。まずは身近な友人や親せきなど話しやすい人と外でコミュニケーションをとってみましょう。
一方で、いきなり大勢が集まるようなところに行くのは避けるようにしてください。精神的にストレスを抱えて、外出が嫌になる可能性があります。なるべくストレスを感じない場所に、出かけるようにしましょう。
アルバイトや日雇いの仕事からはじめてみる
引きこもりから社会復帰を果たす場合は、アルバイトや日雇いからはじめるのもおすすめです。アルバイトや日雇いだと、1日単位で仕事をはじめられます。
時間なども融通がきく仕事も多いため、いきなり長時間の仕事にしばられることもありません。引きこもりの場合、1日中働くことにストレスを感じることもあります。そのため、いきなり正社員の仕事に就いて、毎日出社すると心身への負担が大きい可能性があります。ストレスを抱えてしまい、仕事が継続しない可能性があるため注意しましょう。
アルバイトや日雇いの仕事に応募することが怖い場合は?
アルバイトや日雇いの仕事に応募するのが怖い場合は、在宅ワークから仕事をはじめてみるのも1つの手段です。
Webライターやエンジニアなどの仕事であれば在宅でもできます。スキルを身に付ければフリーランスなどの自由な働き方も見えてくるかもしれません。もしスキルがない場合は、在宅ワークに必要なスキルを教えてくれる就労支援施設で学習するのもよいのではないでしょうか。
ケイエスガードでは、在宅ワーク向きのスキル習得を支援していますので、どうぞご相談ください。
引きこもりからの社会復帰は可能!就労支援サービスの利用も検討しよう!
引きこもりが長期化すると社会復帰が難しくなります。しかし、就労支援サービスなどを利用すると、社会復帰できる可能性があります。
社会復帰を果たすためには、まずは生活リズムを整え、次に外出してみましょう。仕事にチャレンジしたくなったら、アルバイトや日雇いの仕事から少しずつはじめてみてください。
しかし、引きこもりが長引いた場合、アルバイトへの応募も難しいかもしれません。その場合は、就労支援施設で在宅ワーク向けのスキルを学んでみてはいかがでしょうか?ケイエスガードでは在宅ワークに必要なスキルを学べるプログラムを豊富に準備しています。
引きこもりから社会復帰したい場合は、ぜひご相談ください。