アメリカにある某大学で実施された研究では、失恋が「うつ病」の原因になり得ることが判明しました。
「うつ病」とは、身体・精神的ストレス等によって脳内のエネルギーが欠乏し、感情のコントロールが難しくなる気分障害の1つです。日本には100万人以上のうつ病患者がいるといわれており、15人に1人がうつ病を発症したことがあるとするデータもあります。
失恋や恋愛関係のもつれが原因で、気分が落ち込むとうつ病になることもあるため注意しましょう。この記事では、失恋うつについて詳しく解説します。失恋うつのチェック方法や克服方法についても紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
失恋をするとうつになることもある
失恋をすると幸せを感じられず、ネガティブな感情ばかりが溢れてきます。精神的にもストレスを抱えるため、うつになることもあります。まずは失恋うつを理解するために、恋愛から失恋にいたるまでの心の移り変わりをみていきましょう。
恋愛がうまく行く間は幸せの絶頂期!
恋愛がうまく行く間は幸せの絶頂期で、「恋人ともっと仲良くなりたい!」という気持ちで毎日が充実しています。
「恋をするとキレイになれる!」と昔からいわれるのは、恋人の為にメイクやファッション、内面を磨き上げるからではないでしょうか。
また好きな人と一緒にいるだけで、何気ない風景でもキラキラと輝いて見えます。日常生活でも恋人がいてくれたら、ちっぽけな悩みなんてどうでもいいと思えることもありますよね。
しかし恋愛は失恋という形で、突然終わりを迎え心にダメージを与えることもあります。
失恋がもたらす心のダメージ
恋愛が人生にトキメキを与えてくれる反面、失恋で受ける心のダメージは計り知れません。恋人に裏切られたり、酷い事をされたりすると、辛い・苦しい・悲しい・憎いというネガティブな感情が出てきて、何もしたくない気持ちに陥ることもあります。
通常は、つらい失恋後でも少し時間が経てば感情をコントロールして立ち直れることが多いものです。しかし、人によっては1か月や2カ月、3カ月、6カ月と時間が経ってもネガティブな感情に支配され、自暴自棄になることもあるでしょう。
ネガティブ感情が続いてしまい、「この世の終わり」と感じてしまう場合は『失恋うつ』の始まりかもしれません。
ちなみに『失恋うつ』は女性よりもあまり人に悩みを打ち明けることが得意ではない男性の方が陥りやすいそうですよ。
失恋うつとは
失恋うつとは、失恋がきっかけでうつ病が心配されるほどの精神的ストレスがかかった状態です。ここでは、失恋うつが脳に与える影響や症状、なりやすい人の特徴について解説します。
失恋が与える脳への影響
失恋うつ病も通常のうつ病と同様に、コルチゾールと呼ばれるストレスホルモンが過剰に分泌されるため、何事にも集中できなくなったり、イライラしたりします。また失恋特有の虚しさを感じる点も特徴です。
一方で恋愛中は、ドーパミンと呼ばれる集中力を高めたり、幸福感を感じたりするホルモンが豊富に分泌されています。脳内の幸せホルモンの作用で、毎日が高揚感で満たされた状態です。
失恋すると、恋愛中は豊富に分泌されていたドーパミンが減少します。つまり失恋うつ病は、脳内ホルモンのバランスが崩れることで起きるのです。
失恋うつの症状
失恋うつによる症状は次のとおりです。
- 憂鬱感
- 不安感
- 体調不良
- 食欲不振
- 睡眠障害
失恋うつになると、つらい、不安、悲しいといったネガティブな感情が続くだけではなく、食欲不振や体調不良といった体の不調を感じるようになる点も特徴です。最悪の場合、命にも関わるため、失恋から立ち直れない場合は、精神科医などの専門家に相談した方がよいでしょう。
失恋うつになりやすい人
次のような方は、失恋うつになりやすいため注意しましょう。
- 完ぺき主義で自分に厳しい頑張り屋
- 人に相談するのが苦手
- 潔癖症
- 生活のすべてが恋愛最優先になりやすい
- 一途に尽くしすぎる
- 趣味、仕事、友情など恋愛以外の楽しみがない
失恋から立ち直れない場合は、自分だけで解決しようとせずに家族や友人など身近な人に相談することも大切です。自分のつらい気持ちを、相手に聴いてもらうだけでも心が軽くなることもあります。
失恋うつのチェック方法
ここで紹介する状態が2週間以上続く場合は、失恋うつかもしれません。失恋うつをチェックして、症状が重い場合は精神科医などの専門家に相談しましょう。
相手と別れたときのことを繰り返し考える
失恋したときのことを鮮明に覚えていて、いつまでも繰り返し思い出す場合は要注意です。とくに失恋したことを考えるたびに、感情的になったり、泣き出してしまったりして情緒不安定な場合は注意してください。
別れた相手のことを聞くと強いストレスを感じる
別れた相手の名前を聞くと、途端に嫌な気分になってストレスを感じる場合は失恋から立ち直れていない状態です。また意識して相手のことを考えないようにしたり、無理に思い出したりしないようにしている場合も、失恋を引きずっています。
無理に気持ちを抑え込もうとせずに、親しい友人などに話してみると気分がスッキリするかもしれません。
体調不良が続いている
失恋うつで現れる体調不良や症状には、次のようなものがあります。
- 息が詰まって苦しくなるとき
- 動悸や脈が速くなったり、強くなったりする
- すぐにイライラしたり、以前よりも物事を悪い方に捉えてしまう
- 仕事に集中できずにミスが増えた
- 気力がわかずに、何をする気にもなれない
以上の症状が続く場合はうつ病が疑われるため、医療機関に相談した方がよいでしょう。
よく眠れない
疲れているのになかなか寝付けなかったり、眠る前に元恋人のことを考えてしまったりする場合は恋愛うつに陥っているのかもしれません。夜間になかなか眠りにつけないため、日中に頭がぼーっとすることもあります。
その他の症状
恋愛うつになると、次のような症状が現れる場合もあります。
- 自分に価値が無い、または申し訳ないと感じる
- この世から消えてしまいたいと思う
- 動作や話し方が以前よりも遅くなった
- 恋愛に限らず、何に対しても興味がわかず楽しめない
気分がふさぎ込んで辛い状態が続くとうつ病になることもあるので、早めに対策を講じた方がよいでしょう。
失恋うつを克服する方法
失恋うつは、早めに対策をすると克服できる場合もあります。次の方法を紹介しますので、失恋うつから立ち直る際に参考にしてください。
- 時間に身をゆだねる
- 新しい趣味を見つける
- 別の人と付き合う
- 友達や家族に話を聞いてもらう
- 箇条書きにして書き出す
- 思いっきり泣く
それぞれについて解説しますので、ぜひ実践してみてくださいね。
時間に身をゆだねる
失恋で心にダメージを受けた場合は「時間」が解決することもあります。ダメージの程度や個人差によって心が晴れるまでの時間は異なりますが、男女ともに1カ月程で気持ちを切り替えられる人が多いようです。
新しい趣味を見つける
新しい趣味を見つけるのもおすすめです。趣味に没頭すると気がまぎれます。身体を動かす趣味であれば、よく眠れるようにもなりますよ。たとえば、ゴルフや水泳、登山など興味のあるスポーツにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
別の人と付き合う
昔から「失恋には新たな恋を」といわれているように、別の人と付き合うのもおすすめです。失恋による心のダメージは同性ではなく、異性にしか癒せない場合もあります。
ただし、失恋後すぐに別の人と付き合うと、元彼や元彼女と比べてしまうかもしれません。昔の恋人のことを忘れられずに、逆効果になる可能性もあるため新たな恋を探す際は慎重にタイミングを選びましょう。
友達や家族に話を聞いてもらう
失恋による悩みを自分の中で溜め込まずに、他の人に話を聞いてもらうだけでも、気持ちがスッキリする場合もあります。気兼ねなく悩みを相談できる人に、失恋したことを打ち明けてみましょう。
箇条書きにして書き出す
なぜ辛いのか、何に対して心のダメージを受けているのかといった失恋で辛く感じる理由を書き出すと、自分の気持ちと向き合うことができます。自分に向き合うと、考えが整理できて気持ちが落ち着きますよ。
思いっきり泣く
家族や友達に失恋したことを話せずにつらい場合は、映画を観て大号泣したり、感情に任せて思いっきり泣いたりすると気持ちがスッキリしますよ。涙は心のデトックスといわれているので、失恋でツライ場合は我慢せずに思いっきり泣いた方がよい場合もあります。
うつ病が深刻化する前に早めに病院を受診しよう
失恋うつから立ち直れない場合は、うつ病が深刻化する前に早めに病院を受診した方がよいでしょう。病院でうつ病と診断された場合は、「医療費助成制度」や「生活費保障制度」などの支援も受けられます。まずは仕事を休んで、失恋で受けた心のダメージを回復させましょう。うつ病を支援する各種制度については、次の記事を参考にしてください。
またうつ病から回復しても、仕事に復帰することが難しい場合は、就労移行支援事業所を利用してみるのもオススメです。ケイエスガードはうつ病などの精神疾患に対応した就労支援も実施していますので、どうぞご相談ください。就労支援について詳しく知りたい場合は、次の記事を参考にしてください。