現代人ならではの悩みも多くみられる精神疾患は、一人ひとりの状態に合わせた治療やケアが主流となる一方、疾患を抱えている方自身の自立や社会復帰が課題となっています。
疾患の度合いにもよりますが、疾患を抱えているからといって仕事ができないわけではなく、ご本人の状況や周囲のサポート、職場環境などの条件が一致すれば、スムーズに社会復帰を目指すことが可能です。
本記事では、精神疾患を患う方が仕事に復帰するための方法を中心に解説。仕事に適した場所・環境についても、就労環境や業種をピックアップして紹介します。
「人に囲まれて働けるか不安…」「昔のように働けるかな?」と不安に感じている方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
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精神疾患の方が仕事に復帰する方法
精神疾患の方が仕事に復帰するためには、治療やケアが最優先となります。具体的には以下のプロセスを経ながら社会復帰を目指します。
仕事への意欲を確認する
「仕事をしたい(してみたい)」意欲があることを確認します。罹患者ご自身が意欲を自覚し、かかりつけの病院の主治医にも仕事への前向きな思いを伝えてください。
自分自身と主治医以外では、精神疾患に理解のある家族や知人にも意思を伝えると、生活や人間関係などでサポートが受けられやすくなります。
体力と生活リズムの回復
次に、体力や健康状態に向き合いながら就労できるコンディションに整えていきます。昼夜逆転・強い睡眠剤に頼りきりの生活は改め、決まった時間に眠りにつけるように練習します。
1日あたりの睡眠時間が3時間以下・中途覚醒がある・睡眠はできるが時間帯がバラバラな方は、いずれも睡眠に関するトラブルをケアしていかなければなりません。
就業後は睡眠のサイクルや体力に向き合うゆとりが少なくなるため、余裕のあるうちに健康を向き合っていきましょう。
症状に合う就業先を探す
就業への意欲と体力を回復したら、症状に合う職場環境を探していきます。
いきなりフルタイムでの仕事や残業・休日出勤ありの仕事は負担が大きいため、短時間勤務やフレックスタイム制など、心身に影響の少ないところから仕事を始めてください。
就労先は一般の求人雑誌や求人サイトのほかに、地域障害者職業センターなどで受けられる支援のほか、職業訓練校・医療機関でのリワークプログラム・精神障害者採用に力を入れている求人サイト(雑誌)で検索できます。
就労移行支援事業所に登録し、事業所を経由して就労先を紹介してもらう方法もあります。無理のない方法で就労可能な環境を探してみましょう。
精神疾患と向き合いながら働くポイント
次に、復職を果たした後で精神疾患と向き合いながら働くポイントを紹介します。
疲れを放置しない
心にトラブルや悩みを抱えている方は、心とは別に体の疲れにも注意を。仕事で溜まった疲れを残したままでいると、元々心に抱えているトラブルと重なってしまいます。
疲れはしっかりと休んで解消し、早めの備えで心も回復させていくことが大切です。
悩みはすぐに相談
かかりつけの医師やカウンセラー、家族や知人のほかにも就労先のカウンセラー・産業医・社会福祉士など頼れる人を複数見つけておき、悩みをすぐに相談するようにしましょう。
仕事上の悩みは職場の上司や担当者に相談することもできますし、厚生労働省が相談事業として実施している「こころの耳電話相談/メール相談」や都道府県ごとに設置されている精神保健センターを利用する方法もあります。
生活リズムを整える
睡眠時間の記録・規則正しい食事・SNSやゲームなど刺激の強い媒体から一時的に離れるなどの対策で、生活リズムを整えます。
不規則な食事や生活習慣が当たり前となった現代では、どんなに健康な人でも生活リズムが崩れやすくなっています。心にトラブルを抱える方は、日々の生活を見渡して改善、自己防衛を心掛けましょう。
精神疾患の方が働くのに適した場所
精神疾患の方に適している就労先についても紹介します。
うつ病の特性に合う仕事を選ぶ
精神疾患には「うつ病」「躁うつ病」「統合失調症」「パニック障害」とそれぞれ異なる分類があり、病態・特性に合った仕事を選ぶことでストレスを受けにくくなります。
うつ病についても疾患の程度に応じて勤務時間や業務量を抑え、マルチタスクが必要な仕事や頻繁にコミュニケーションをとるような業務は避けましょう。いきなり100%のレベルで復職するのではなく、心身への負担やストレスの少ないところからスタートすることをおすすめします。
無理なく通える環境を選ぶ
精神疾患や発達障害の方は、自身のトラブルに向き合うほど復職に不安を抱えることがあります。
しかし「働けない」と思い込むより、実際に行動をしてみることで新しい変化が生まれ、家族や支援機関からも支援が受けられるようになります。働くことが怖い場合、まずは「好きなもの」「できそうな事」から始めて、周囲から褒められる物事に取り組むと良いですね。
ゲームが好きな方はゲーム関連の仕事(プログラムやデザイン)を、文字に触れることが好きな人は執筆系や校正などを目指すなど、向いていないものよりも「向いているもの」を優先的に探しましょう。
「発達障害者はこだわりを活かして好きなことを仕事にすると良い」と言われますが、そのような一般的な言説に縛られる必要はありません。
精神疾患を抱えていても働ける
いかがでしたでしょうか?今回は、障害に向き合いながら働く方法について解説してきました。障害や疾患を抱えていても、医療機関での治療とカウンセリング、支援機関での支援プログラムの利用で自信を取り戻しながら、就職や復職を目指すことが可能です。
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精神疾患を抱える方が受けられる支援やおすすめの職種についても紹介していますので、ぜひご覧ください。