双極性障害の混合状態とは、うつ症状と躁症状が混ざっている状態のことをいいます。
混合状態のときはいつもよりイライラ感が強くなったり、そわそわと落ち着きがなくなったりと辛い状態になることが多くあります。
この記事では、双極性障害の混合状態が辛いときの過ごし方や対処法について、詳しくご紹介します。
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双極性障害の「混合状態」とは?
双極性障害は、うつ症状と躁症状(または軽躁症状)を繰り返す病気ですが、一時的に2つの症状が混ざって出現することがあります。
このようにうつ症状と躁症状が同時に現れる状態のことを双極性障害の「混合状態」といいます。
例えば「体がだるくて動くのが億劫なのにイライラする」「考えは次々に浮かぶのに行動できない」などの状態は、混合状態といえるでしょう。
うつ状態であるのに焦燥感やイライラ感が強い場合や、躁状態であるのに気分の落ち込みがあるなどの状態のことを指します。
双極性障害の混合状態のときは、気分と行動、思考が不安定でバラバラになっていることが特徴です。混合状態の多くはうつ症状がベースにあり、そわそわして落ち着かない、イライラするなど、一時的に衝動性や行動性が高まる傾向があるといわれています。
「混合状態」になりやすいときって?
双極性障害の混合状態になりやすいのは、うつから躁、躁からうつに移行するときが多いといわれています。
また、混合状態のときは気分や思考が不安定になり、行動性が高まることが多いため、希死念慮が強くなる傾向があります。
双極性障害の混合状態は、ご本人にとっても大変辛い状態です。
自殺のリスクも高まるため、周囲の理解・協力や医療との連携など、混合状態への対処法を知っておくことが重要であるといえるでしょう。
では、混合状態が辛いときはどのように過ごしたら良いのでしょうか?
次からは、混合状態のときの具体的な過ごし方や対処法についてご紹介します。
双極性障害の「混合状態」のときの過ごし方
まずは「イライラが止まらず辛い」「そわそわして落ち着かない」など、「混合状態の真っ只中」というときの過ごし方について、ご紹介します。
①緊急性が高い場合は医療機関を受診
双極性障害の混合状態により「こんなに辛いのなら死んでしまいたい」など、悲観的・投げやりな思考が強い場合は、直ちに医療機関を受診しましょう。
混合状態のときは衝動性が高まる傾向があるため、「消えてしまいたい」「この状況を終わりにしたい」という気持ちを行動に移しやすいといわれています。
希死念慮※が強い場合は専門医の判断のもと、混合状態の症状がおさまるまで一時的に入院することも、有効な過ごし方のひとつです。
※ 希死念慮 …漠然と死を願う状態
②家族など周囲へ相談し、見守りを強化
双極性障害の混合状態のときは、いつも以上に気分や行動が不安定で怒りっぽくなるなど、周囲との軋轢が生じやすくなります。
誤解を生まないためにも、辛い状況を家族などに説明し、いつも以上に様子を見守ってもらうと良いでしょう。
また、周囲に見守ってもらう際には、イライラや怒りっぽい状態は病気の症状であることを伝えることをおすすめします。
混合状態は一時的な症状ですので、症状が落ち着いたころに医療機関を受診し、医師に相談することも忘れないでくださいね。
双極性障害の「混合状態」の対処法
次に、混合状態の緊急性が高い症状が治まったときの対処法についてご紹介します。
混合状態をはじめとした双極性障害の症状緩和や回復には、継続的な治療とともに病気について正しく理解することが大切です。
今回ご紹介する対処法は次の3つです。
- 混合状態が発生したときの状況を振り返る
- 医師に相談する
- 生活リズムを整える
それぞれの対処法について、詳しくみていきましょう。
①発生したときの状況を振り返ってみる
混合状態の対処法として、緊急性の高く辛い症状が落ち着いたのちに「振り返り」をしてみることをおすすめします。
「混合状態発生前後には、どんなことがあったのか?」「最近ストレスを感じたことはなかったか?」などについて、忘れないうちに振り返ってみることで、混合状態の悪化を防ぐことができるといわれています。
混合状態は双極性障害における一時的な症状ですが、混合状態を繰り返さないための予防として、混合状態の兆候や前後のストレスについて正しく理解することが大切です。
また、混合状態のときの振り返りを記録に残しておくことで、自身がストレスを感じるポイントや、混合状態が起こる傾向が分かりやすくなります。
記録に残す際には、周囲の人と相談しながら行うこともおすすめです。
周囲から治療の協力が得られやすくなり、病気への理解も深まります。
②医師に相談してみる
①で振り返った内容を専門医に相談してみましょう。
双極性障害は、継続的な治療が回復のポイントです。
症状に合わせた服薬の調整とともに、ストレスへの対処法を専門家と一緒に考えてみると良いでしょう。
双極性障害の場合、急激なストレスがかかると一気に躁転(急激に躁状態になること)してしまうこともあります。
そのためストレスがかかる状況を避ける・対応方法を用意しておくことは、混合状態の予防にも繋がるといえるでしょう。
専門医への相談の際には、症状についての記録があると伝わりやすくおすすめです。
③生活リズムを整える
双極性障害は、生活リズムの乱れが症状の悪化の誘因になるといわれています。
毎日の生活リズムを整え、規則正しい生活を心がけることが混合状態の表出を防ぎ、双極性障害の回復に繋がると考えられています。
規則正しい生活を送るとともに、自身の生活リズムを把握することも大切です。
「どんな時に不規則になりやすいか?」などの躁状態・混合状態の兆候を理解しておくことで、万が一生活リズムが乱れたときにも修正がしやすくなります。
また、親戚が集まるイベントなど、社会的な刺激が強い場面で躁状態になるケースも見られます。
躁状態の兆候がある場合は、対人関係の大きな刺激は避けた方が良いでしょう。
まとめ:焦らず症状を理解して対処しよう!
なるべく避けたい双極性障害の混合状態ですが、症状が辛いときは放置しないことが大切です。
双極性障害の回復には、長期的な視点での治療が必要になります。
服薬の継続とともに、自身の症状の波を理解し、一つひとつ焦らずに対処していくことが大切です。
混合状態の対処に困ったときには専門機関のほか、ケイエスガードでも相談を受け付けています。ぜひお気軽にお問い合わせください。