「いつも相手に誤解されてしまう」「嫌なことを断れなくて困っている」
統合失調症や発達障害をお持ちの方で、このような悩みをお持ちの方はいませんか。
人付き合いが苦手で生きにくいと悩まれる方には、SST(社会生活スキルトレーニング)がおすすめです。
この記事ではこころの病気や障害をもつ方へ、SSTのメリットや具体的なプログラムについて解説します。
SSTを取り入れると、社会生活での困りごとに対処する力や自己管理する力がつきます。
この記事でSSTのメリットや具体的な内容が分かるので、興味のある方はぜひ参考にしてみてください。
この記事はstand.fmで配信しています。
ぜひお聴きください。
SST(社会生活スキルトレーニング)とは
SST(Social Skills Training、社会生活スキルトレーニング)は、社会で生活する能力を高める心理療法の一種です。
読み方は「えすえすてぃ」と読みます。
こころの病気や障害をもつ方は、病状や社会経験の乏しさなどが影響し対人関係を苦手とすることが少なくありません。
SSTでは対人関係の困りごとに対処するスキルを、ロールプレイで練習しながら学びます。
ロールプレイとは、実際の場面を再現して自分の役割を疑似体験しスキルを身に付ける方法です。
SSTのメリットは、ストレスを処理する力やコミュニケーション力など幅広いスキルが修得できることです。
トレーニング方法は集団でのロールプレイが多いのですが、支援者と1対1で行う場合もあります。
最近では実践的なトレーニングをする目的で、VRを用いる施設もあります。
SSTが受けられる施設は、病院のデイケアや就労移行支援事業所などです。
気になる方は、主治医に自身がSSTの対象になるか確認するのをおすすめします。
SSTのメリット
こころの病気や障害をもつ方にとって、SSTのメリットは非常にたくさんあります。
具体的なメリットは以下の内容です。
- 自分の考えや感情を上手に伝えられる
- 相手の気持ちを考えた行動が取れる
- ストレスや不安が軽減できる
- 薬や病気との付き合い方がわかる
- 就職活動や仕事の継続に役立つ
それぞれの内容を、具体的に解説します。
自分の考えや感情を上手に伝えられる
SSTでトレーニングする代表例は、自分の思いや感情を相手に適切に伝える技術です。
SSTのプログラムでは相手を傷つけない断り方や、不快にさせないお願いの方法などを場面に合わせて練習します。
人付き合いで我慢してしまうことや誤解されてしまうことが減り、より良い関係を築けるでしょう。
相手の気持ちを考えた行動が取れる
発達障害の方などで、喋りすぎる・空気が読めないと悩んでいる方にもSSTは有効です。
SSTではロールプレイを通して、相手の気持ちや場の状況を考えた対応も練習できます。
仕事などで相手を怒らせることが減り、人間関係が維持しやすいのもメリットです。
人付き合いのストレスや不安が軽減できる
自分も相手も尊重したコミュニケーションが取れるようになるので、対人関係のストレスや不安が軽減できます。
こころの病気や障害をもつ方は、対人関係が怖くて引きこもってしまう場合も少なくありません。
SSTを取り入れることで対人関係に自信がつき、ストレスや不安を減らせます。
ストレスや不安を軽減することは、再発予防のためにも重要です。
薬や病気との付き合い方がわかる
SSTは対人関係だけではなく、社会生活を送るために必要な能力も高められます。
安定した社会生活を送るには、上手にコミュニケーションがとれるだけでは難しいものです。
SSTでは対人関係のほかに、服薬や症状の自己管理・余暇の過ごし方なども学べます。
病気や障害と上手に付き合いながら生活するのに、SSTは有効です。
就職活動や仕事の継続に役立つ
就職活動や仕事では高いレベルのコミュニケーションが求められるため、SSTで練習しておくのをおすすめします。
日常生活では問題がなくても、仕事の対人関係に悩む方はたくさんいます。
SSTを活用すれば、安定した就労を目指しやすくなるでしょう。
SSTの具体的な方法
SSTは集団でのグループワークが一般的ですが、不安で自信がない場合は個別で行う場合もあります。
一般的な流れの例をご紹介しますので、参考にしてみてください。
グループワーク(集団SST)
グループワークの場合、リーダーとなる支援者と数人のメンバーで進めます。
進め方は施設によって多少違いがありますが、以下の流れが一般的です。
- ウオーミングアップ、宿題があれば報告をする
- 練習する課題を決める
- 役割分担と場面設定を行う
- 予行演習をする
- 本人役や相手役は感想を、周りの人は良かった点を言う
- みんなで改善点を考え、必要ならお手本を示す
- 再度ロールプレイを行う
- 必要なら宿題として生活の場面で実践する
ロールプレイは、フィードバックをしながら繰り返し練習することが大切です。
繰り返しの練習をすることで、実際の場面でスムーズに対応できます。
慣れない時は見学から始めたり、つらくなったら途中で抜けたりするのも可能です。
支援者と1対1でのワーク(個別SST)
集団でのSSTが難しい場合、支援者と1対1で行うこともあります。
流れは集団SSTとほぼ同じで、良かった点や改善点を考えながらロールプレイで繰り返し練習します。
人とかかわるのが怖い・緊張が強い場合は、個別SSTも検討してみてください。
SSTが受けられる場所
SSTに興味はあるけれど、どこで受けられるか分からない方もいるかもしれません。
受けられる場所は、おもに以下の施設になります。
- 病院のデイケア
- ハローワーク
- 地域障害者職業センター
- 障害者就業・生活支援センター
- 就労移行支援事業所
施設によってプログラムはさまざまなので、通いやすさや達成したい目標に合わせて選ぶとよいでしょう。
もし就労を目的としている場合は、就労移行支援事業所でSSTを行うのがおすすめです。
SSTと並行して、個々に合わせた就労支援も受けられるためです。
SSTのよくある質問
この項目では、SSTのよくある質問をまとめました。
気になることがあれば、参考にしてみてください。
Q:SSTにデメリットはある?
SSTのデメリットとして、繰り返しの練習を必要とする点があります。
実際の場面でスムーズに実践するには、スキルを手続き記憶にする必要があるためです。
手続き記憶とは箸の持ち方や自転車の乗り方など、身体で覚えている記憶のことです。
頭で考えなくても、無意識のうちに再現できるようになる点がメリットになります。
トレーニングした内容を手続き記憶にするには、同じことを繰り返し練習する必要があります。
SSTは繰り返しの練習が必須で即効性はないため、面倒に感じる人もいるかもしれません。
Q:SSTに参加する条件ってある?
施設によってさまざまですが、集団でのルールを守ることとSSTに参加できる体調であるかは共通しています。
ルールは「相手の良いところに目を向ける」といった内容で、さほど難しいものではありません。
体調が安定していないと参加するのは難しいため、事前に主治医に相談するのをおすすめします。
まとめ:SSTで人付き合いが上手になると、生きやすくなる
SSTは、人付き合いが苦手で生きづらさを感じる人に役立つプログラムです。
対人関係の困りごとに上手に対処できるようになるので、ストレスを軽くし人とのかかわりに自信がつきます。
SSTではロールプレイなどで繰り返し練習を行い、実際の場面でスムーズに実践できる力をつけます。
病院や就労移行支援事業所などで導入されていますので、参加を希望される方は主治医や支援者に相談してみてください。
就労を目指していて人との関わりに自信を持ちたい方は、ケイエスガードにご相談ください。
ケイエスガードは、川崎駅から徒歩8分の就労移行支援・就労継続支援B型事業所です。
個別でのSSTに対応できますので、仕事に関係した困りごとの解決がしやすい環境です。
ケイエスガードでは、1人ひとりの得意や好きを大切に支援をしています。
気になる方は、お気軽にご相談ください。