吃音症は100人に1人いるといわれる、言葉がなめらかに出ない症状のことをいいます。
特に大人の場合は吃音が原因で、仕事でのコミュニケーションに支障があり悩む方が少なくありません。
特定の場面になると言葉がなめらかに出ない悩みがある場合、大人の吃音症である可能性があります。
この記事では大人の吃音症についての基礎知識から、仕事の選び方から受けられる支援まで解説していきます。

吃音の問題で仕事がうまくいかないと悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

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吃音症とは
吃音症とは言葉がなめらかにでない症状を指し、具体的には以下の3パターンがあります。
- 繰り返し:「ご、ご、ごごはん」
- 引き延ばし:「ごーーーはん」
- ブロック(うまく言葉が出ず間が空く):「……ごはん」
発症の原因は体質や環境が影響していると言われていますが、正確にははっきりしていません。
多くは2〜5歳の幼児期に発症し、男性に多い傾向があります。
発症後の経過としては7〜8割は自然に治るのですが、中には症状が固定化し大人になっても吃音が残るケースもあります。
また、症状の出現には波があるのも特徴です。
環境や周りの対応で、吃音の症状や出やすさに差が出ることが多々あります。
ある程度年齢が上がると、言いにくい言葉を言い換えるなどの自分なりの工夫を試みる方もいます。
吃音症の方には、話し方をバカにされるなどのつらい経験をした方がとても多くいます。
話すことに関連した嫌な思いを何度も経験した結果、話すこと自体を回避しようとする方も少なくありません。
吃音症は発達障害者支援法では、発達障害の一種に分類されています。
症状の程度によっては精神障害者手帳が取得でき、さまざまなサービスが受けられます。
大人の吃音症が発症する原因
大人の吃音症が発症する原因には、大きく分けて2パターンあります。
1つ目はこれまで目立たなかった吃音が、大人になってから目立つようになったケースです。
吃音の出やすさには波があるので、環境の変化やストレスによって吃音が目立つようになる場合があります。
学生時代は吃音が出やすい会話を回避し対処していたのが、社会人になって回避できなくなるのも原因に挙げられるでしょう。
プレゼンなど、社会人になってから新たに苦手な会話に直面する場合もあります。
2つ目は何らかの原因で、大人になってから新たに吃音症を発症したケースです。
神経や脳の病気やケガによるものや、ストレスやトラウマなど心因性のものが原因になる場合があります。
大人の吃音症かも?と思ったら
吃音症と思われる症状で悩んでいる場合、相談先や対処方法に迷われるかもしれません。
セルフチェックで判断し対処しようとせず、専門家に相談するようにしてください。
吃音について相談できる場所や、利用できる制度についてご紹介します。
自己判断せず病院へ
一般的に吃音症を診察してもらうには、耳鼻科・精神科・心療内科・リハビリテーション科を受診することになります。
吃音症自体の完全な治癒は難しい状態ですが、受診することで改善が見込めます。
精神的なものが原因と考えられるケースや、吃音症にともなうメンタルの不調がある場合は精神科・心療内科の受診をおすすめします。
耳鼻科・リハビリテーション科の場合は、言語聴覚士という言葉のスペシャリストがいる病院だと、より専門的な治療が受けられます。
具体的な病院探しの方法はネットでの検索も良い方法ですが、かかりつけ医もしくは役所に相談するのもよいでしょう。
障害者手帳が取得できる場合もある
法律上では吃音症は発達障害の一種とされているため、症状の程度によっては精神障害者手帳の取得が可能です。
精神障害者手帳の取得をすれば、さまざまなサービスを受けられます。
大人の吃音症は仕事で悩みやすいので、就労支援や障害者枠での雇用もメリットとしては大きいでしょう。
吃音症によって仕事で悩んだ時の対処法
吃音症が原因で、仕事に悪影響を感じている当事者の方は少なくありません。
仕事選びや工夫の仕方次第で、吃音症による仕事の困りごとを減らせる可能性があります。
具体的な方法を以下に解説します。
周りの理解を得る
自身の吃音症について知ってもらい、周りから理解してもらうのは有効な対処法です。
温かく見守ってくれ配慮してくれる職場環境であれば、たとえ吃音の症状があっても働き続けやすくなります。
吃音症について伝える時には、具体的に配慮してほしい内容まで伝えるとよいでしょう。
なかには、吃音症をカミングアウトすることを躊躇う方もいるかもしれません。
無理にカミングアウトする必要はなく、伝えやすい相手から話すのもよい方法です。
吃音症の方が仕事で活躍するには、吃音に対して理解のある職場を選ぶのがとても大切になります。
話すことにこだわりすぎない
話すことにこだわりすぎず、相手に伝わるコミュニケーションを意識してください。
うまく話そうとするとプレッシャーがかかり、話すこと自体への不安や恐怖が強くなってしまいます。
相手に伝わりにくいと感じた時は、身振り手振りや文章で伝える方法が有効です。
時間が経つにつれて、相手が吃音に慣れて聞き取れるようになることも多々あります。
相手に言いたいことが伝わればよいのだと考えると、精神的に楽になるでしょう。
吃音によって支障が出にくい仕事を選ぶ
吃音症があっても支障が出にくい仕事というだけではなく、職場環境を重視して仕事を選ぶのをおすすめします。
一般的には吃音症の方にはあまり会話を必要とせず、少人数で取り組む仕事が働きやすいといわれています。
どちらかというと仕事内容よりも、働きやすい環境であるかのほうが重要です。
吃音症の方はストレスやプレッシャーがかかる環境だと、吃音が出やすくなってしまいます。
理解のある職場環境であれば、吃音があっても自信を失わず働き続けられるでしょう。
吃音症の方が仕事を選ぶときは、仕事内容だけではなく人間関係などの環境面も重視するのをおすすめします。
仕事のことで悩むなら就労支援がオススメ
吃音症の方は仕事で自信を失う経験をしやすく、思うように働けず悩む方も少なくありません。
吃音の程度によっては障害者手帳が取得でき、さまざまなサービスを受けられます。
具体的には、就労支援を受けられたり、障害者雇用の対象になったりします。
就労支援とは吃音症を含めた障害のある方へ、就労全般の支援をするサービスです。
吃音への配慮が得られる環境の中で、自分に合った仕事探しがしやすくなります。
職業訓練も受けられるので、気になる分野の資格を取ることも可能です。
利用しているほとんどの方が自己負担額無しで利用していますが、前年度の収入に応じて変わってくるので、気になる方はお問い合わせください。
仕事環境次第で、吃音症でも仕事で活躍できます!
吃音症は言葉がなめらかに出ない状態を指し、生活や仕事などに支障が出てしまいます。
大人の吃音症を完治するのは難しいものの、環境調整や自分なりの工夫など症状を和らげる方法はあります。
症状の出方は個人差が大きく、症状によっては病院で診断を受けて障害者手帳を取得できるケースもあります。
吃音症の方は会話で失敗体験や恥ずかしい思いをするなど、多かれ少なかれストレスを感じています。
だんだん話すことに恐怖を感じ、苦手な会話を回避しようとする場合も少なくありません。
仕事においても困難を感じやすいのですが、環境が整えば吃音症があっても活躍することは充分可能です。
吃音への配慮が受けられ、自信を持って働くためには職場選びが大変重要です。
就労支援を利用すれば、自分に合った仕事内容や職場選びのサポートを受けられます。
職業訓練を受けて資格を取得し、新たな仕事にチャレンジする機会にもできます。
「吃音が原因で、やりたい仕事ができない」といった悩みを抱えている方は、ケイエスガードに一度お問い合わせください。
ケイエスガードは川崎市認定の就労移行支援事業所です。
あなたの困りごと・やりたいことに合わせた復職プログラムを一緒に考え、支援します。
吃音があるから、うまく話せないと不安に思う方もいるかもしれませんが、安心してください。
吃音症の方がゆっくり話しやすいよう配慮し、ストレスなく楽しく通えるような環境を提供しています。
受講可能な職業訓練も多数あるので、気になる職業にチャレンジする機会にもできます。
無料で相談会も随時行っていますので、お気軽にお問い合わせください。