パニック障害とは、突然の動悸や息苦しさ、めまいなどの発作的な症状が現れる病気です。
いつ現れるか分からない発作への不安から人混みを避けるようになり、外出に制限が出ることが、パニック障害の大きな特徴です。
そのため、本人が外出する際には家族などの付き添いが必要になり「看病に疲れた」というケースが少なくありません。
この記事では、家族がパニック障害となった場合に気をつけたいことや、看病に疲れてしまったときの対策について、詳しくご紹介します。
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家族がパニック障害になった際に気をつけること
まず、家族がパニック障害になった場合はどうしたら良いのでしょうか?
ここではパニック障害の方と関わる際に、気をつけたいことについてご紹介します。
①パニック障害の病気や症状について正しい知識を持つ
パニック障害の辛さやパニック発作の恐怖は、周囲には理解されにくいものです。
家族をはじめ身近な人たちが、まずパニック障害とはどんな病気なのかを知ることで、本人の辛さや不安を理解しやすくなります。
また、パニック障害は症状をコントロールできないため、日常生活に支障が出ることも少なくありません。
パニック発作時の対処法など、病気について正しく理解するために、家族が本人の通院に同行することも有効です。
②本人の辛い状況や問題を否定しない
パニック発作は、本人が「死ぬかもしれない」と感じるほどの不安や恐怖を体験するものです。
「精神的なものだから大丈夫」などといった安易な発言をしたり、本人の話を否定したりすることは避けましょう。
③干渉しすぎない、強要しない
パニック障害の治療中に大切なことは、本人の「心身のストレスを減らすこと」といわれています。
家族が回復を焦るあまりに本人の生活に干渉しすぎたり、無理に外出などの気分転換に誘ったりすることが、ストレスの要因になることも考えられます。
パニック障害の治療には、家族や周囲のサポートが必要です。
共倒れにならないためにも、家族も意識的に息抜きの時間を作り、ストレスをためないことが大切です。
パニック障害の症状とは
パニック障害の症状は、大きくパニック発作、予期不安、広場恐怖の3つに分けられます。
- パニック発作〜突然前触れもなく現れる動悸やめまい、息苦しさなどの症状とともに強い恐怖を伴うもの。パニック障害の主たる症状。
- 予期不安〜「また発作が起きるのではないか」と、過度な不安状態に陥ること。
- 広場恐怖〜パニック発作が起きた場所や、もし発作が起こった際に助けが得られないような場所(電車やバスなど)を避けるようになること。一人での外出が困難になる。
それぞれの症状についての詳細は、以下の記事をご覧ください。
※参考「パニック障害とは?どんな症状か分りやすく解説」
看病する家族や周りの人にできること
パニック障害の治療には、家族をはじめ周囲からの協力や理解が必要です。
ここでは、看病する家族や周囲の人がパニック障害の方をサポートする際のポイントをご紹介します。
①本人の自己決定を尊重する
本人が決めたことを尊重することは、パニック障害に限らず精神疾患を抱える方と関わるときの大切なポイントです。
ときには病気により、本人が客観的な判断や冷静な考え方ができなくなるケースもあります。
しかしそのような場合にも、まずは本人の意志や意見を確認しましょう。
「決定権や選択権を奪わない」ことが、本人の安心につながります。
②本人が安心できる環境をつくる
パニック障害の治療中は、身近な家族が一番の理解者であることが大切です。
パニック発作時には、背中をさすってあげるなどの対応を行うことで、本人の不安を少しでも軽減することができます。本人が少しでも安心できるような対応や、環境づくりを心がけましょう。
また、本人に広場恐怖がある場合は、家族が買い物や外出に同行することで安心する場合が多くあります。
看病に疲れてしまったら?本人との接し方のコツ
強い不安や恐怖を伴うパニック障害ですが、献身的なサポートにより家族が疲弊してしまうことが少なくありません。
家族が「看病に疲れた」とならないためには、ストレスを溜め込まないことが大切です。
ここでは家族がパニック障害のサポートを続けるための、本人との接し方のコツをご紹介します。
①原因を探そうとせず、いつもどおり過ごす
現在パニック障害に至る明確な理由は分かっておらず、原因をひとつに特定するのは困難です。
また、原因を探そうとする過程で症状が悪化する場合も考えられます。
そのため、家族がパニック障害になった際には「治療のために」と特別なことをしようとせず、いつもどおり過ごすことで本人も安心できるでしょう。
また、家族もストレスを抱えすぎず、看病疲れを防ぐことができます。
②できる範囲でサポートする
外出への付き添いなど、すべてのサポートを一人で抱えないようにしましょう。
パニック障害の回復には時間がかかることがあります。
そのため、関係機関や友人などの助けも借りながら、焦らずサポートを続けることが大切です。
また、本人ができることは必要以上に手を貸さず、ときには見守りに徹することも必要なサポートといえるでしょう。
困ったときに利用できる相談窓口
パニック障害の家族について相談できる窓口は、病院だけではありません。
困ったときには家族だけで解決しようとせず、専門機関に相談してみましょう。
ここではパニック障害をはじめ、精神疾患についての主な相談窓口を3つご紹介します。
①かかりつけ医、もしくは病院・診療所の精神科
本人がパニック障害の症状で通院中の場合は、まずは通院先の病院へ相談しましょう。
通院していない場合には、精神疾患や精神的な症状を専門とする医療機関へ相談することをおすすめします。
病院内には医師だけでなく、看護師やカウンセラー、ソーシャルワーカーなど専門的な知識を持ち、協力を得られるスタッフが在籍しています。
困りごとを相談することにより、必要な支援機関や制度の紹介や、状況に応じた連携をとってくれる場合があります。
②病院内や地域にある家族会
家族会とは、精神疾患を抱える人を家族に持つ人たちが、お互いに悩みを分かち合い、共有することで支えあう会です。
同じ疾患や経験を持つ仲間との交流が主な目的で、困りごとの共有や病気についての勉強会などを開催しています。
※参考:厚生労働省「みんなのメンタルヘルス 家族会・患者会など」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/support/consult_4.html
③精神保健福祉センター
精神保健福祉センターとは、都道府県と政令指定都市に設置が義務付けられている公的機関です。
こころの健康保持と向上を目的としており、様々な「こころの悩み」についての相談を受けています。
また、精神保健福祉に関する啓発や予防活動なども行なっています。
まとめ:すべての役割を抱え込まないことが大切
パニック障害の方が回復するまでには、長い時間がかかることがあります。
外出への付き添いなど、家族や周囲の人が一人ですべてこなそうとすると、看病に疲れてしまうでしょう。
サポートを続けるためにも、家族だけで役割を抱えこまないことが大切です。
関係機関や周囲の人たちの協力を得ながら、家族もストレスを溜め込まないことがパニック障害の回復につながります。
パニック障害の家族への対応に困ったときには専門機関のほか、ケイエスガードでも相談を受け付けています。
ぜひお気軽にお問い合わせください。