統合失調症は、発症が10代後半〜30代と若いケースが多い病気です。
統合失調症の症状により社会経験を得ることが難しく
一人暮らしをしたいけれど、どうしたら良いか分からない
という方も多くいるのが現状です。
統合失調症の方が一人暮らしをするためには、自身の「生活のしづらさ」を把握し、周囲のサポートを受けながら生活することが大切です。
この記事では、統合失調症の方の一人暮らしをサポートする相談窓口や支援サービスについてご紹介します。
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統合失調症の方が生活のしづらさを感じる原因
統合失調症の方は、病気の症状や環境により様々な「生活のしづらさ」を抱えています。
統合失調症の方が一人暮らしを考える際には、「生活のしづらさ」をどのように解消するかがポイントです。
ここでは、統合失調症の方が抱える「生活のしづらさ」を感じる原因について解説します。
幻覚や妄想からくる生活リズムの乱れや不眠
統合失調症の症状の特徴に、幻覚や妄想があります。
幻覚のなかでも多いのが、周囲の人には聴こえない声が聞こえる幻聴です。
幻聴による恐怖や不安、緊張から不眠になり、昼夜逆転の生活になる方が少なくありません。
統合失調症の症状には波があり長期化しやすいため、生活リズムの乱れが改善しにくいという特徴もあります。
また、妄想から「毒が入っているかもしれない」などという理由で食事が取れなくなるケースもあると言われています。
認知力・意欲の低下によるひきこもりや生活環境の悪化
統合失調症には、認知力の低下や意欲の減退という症状も見られます。
感情や意欲が失われて身体を動かすのが億劫になり、風呂に入らないなど衛生面に影響が出るケースもあると言われています。
また、整理整頓をする気持ちの余裕がなくなり、部屋が乱雑になることも少なくありません。
※参考「統合失調症の方が仕事が辛いと思う原因と就労を続けるコツを解説」
統合失調症の方が一人暮らしをするために利用できるサービス〜相談窓口〜
統合失調症の方が抱える生活のしづらさは、一人で解決できるものではありません。
一人暮らしをするためには、周囲のサポートを受けることが大切です。
おすすめの支援サービスは、お住まいの自治体が運営する相談窓口です。
専門知識を持った方が、一人暮らしに向けて適切なサポートをしてくれます。
ここでは、統合失調症の方が一人暮らしをするにあたって利用できる相談窓口についてご紹介します。今回取り上げるのは「障がい者相談支援事業所」「住宅入居支援事業(居住サポート事業)」「自立生活援助事業所」の3つです。
障がい者相談支援事業所
障がい者相談支援事業所とは、市町村が設置した障害に関する様々な問題について対応する相談窓口です。障害のある人などからの相談に応じ、必要な情報の提供や障害福祉サービスの利用支援などを行っています。
実施者は市町村もしくは、委託された指定特定相談支援事業者、指定一般相談支援事業者です。
詳しい事業内容はお住まいの自治体ごとに異なりますので、「障がい者相談支援事業所」でご確認ください。
事業内容
- 福祉サービスを利用するための情報提供、相談
- 社会資源を活用するための支援
- 社会生活力を高めるための支援
- ピアカウンセリング
- 専門機関の紹介 など
参考:厚生労働省「障害のある人に対する相談支援について」
住宅入居等支援事業(居住サポート事業)
住宅入居等支援事業(居住サポート事業)とは、市町村が設置した住宅入居についての相談窓口です。
一人暮らしで最初に必要となるのが住居です。
賃貸契約の際には「保証人がいない」など様々な問題が発生します。
居住サポート事業所では、賃貸住宅への入居が難しい障害のある人に対して、必要な調整や家主などへの相談・助言などのサポートを行っています。
事業内容
- 入居支援(物件あっせん依頼、入居契約手続き支援)
- 居住支援のための関係機関によるサポート体制の調整
参考:厚生労働省「障害のある人に対する相談支援について」
自立生活援助事業所
自立生活援助事業所とは、市町村が指定した、施設やグループホームから一人暮らしをする方のための相談窓口です。
障害者支援施設やグループホームなどを利用していた方が一人暮らしを希望する場合に、一定期間のサポートを行います。なお、利用にあたっては市町村への申請が必要になります。
事業内容
- 定期的な巡回や随時の通報を受けて行う訪問
- 必要な情報の提供および助言や相談、医療機関等との連絡調整
- その他、障がい者が自立した日常生活を営むための環境整備に必要な援助
※参考:厚生労働省「自立生活援助の運営ガイドブック」
統合失調症の方が一人暮らしをするために利用できるサービス〜生活支援〜
統合失調症の方が一人暮らしをするためには、住居や生活費となる収入の確保も重要です。
統合失調症の症状により「すぐに働くのは難しい」という場合は、生活保護の申請やグループホームへの入居を検討してみてはいかがでしょうか。
ここでは生活支援のサービスとして、生活保護制度とグループホームについてご紹介します。
生活保護制度
生活保護制度は、憲法25条や生活保護法に基づき、国民の健康で文化的な最低限度の生活を保障する制度です。
生活の困窮の程度に応じて保護を行い、自立を助長することを目的としています。
生活保護制度についての相談は、お住まいの自治体に設置された福祉事務所が担当しています。
※参考:厚生労働省「生活保護制度」
グループホーム(共同生活援助)
グループホーム(共同生活援助)とは、障害のある方が地域の中で共同生活を行う住まいの場です。
シェアハウスとは異なり、専門知識を持ったスタッフが配置されて自立した生活のための支援を行っています。
入居人数はグループホーム1か所につき平均5〜6名程度。
近年人気のあるマンション・アパート型のグループホームは、完全個室のため一人暮らしの準備としての利用も多いと言われています。
「一人暮らしをしたいけれど自信がない」という方や、「支援は必要だけれどある程度は自立をして生活したい」という方には、グループホームが適していると言えるでしょう。
まとめ
統合失調症の方が一人暮らしをするためには、医師などの専門家を含む周囲のサポートが欠かせません。
利用できる支援サービスも多くありますので、一人で悩まずにまずは相談してみることが大切です。
川崎市の就労移行支援「ケイエスガード」では、住宅支援を含む様々な相談を受け付けています。
統合失調症の方で「一人暮らしをしたい!」という場合には、ぜひお気軽にご相談ください。