病状が安定して就労を目指そうと思った時に、就労移行支援と精神科デイケアの就労支援プログラムどちらを受けるか悩まれる方もいると思います。
精神科デイケアに通っている方の中には、就労移行支援があるならデイケアに行く意味はあるのか?と内心疑問に思っている方もいるかもしれません。
就労移行支援と精神科デイケアの就労支援プログラムは、類似している点はありますが、通う目的が異なるものです。
病状が落ち着いていて、本人が希望すれば2つを併用して利用することも可能になっています。
この記事では早期の社会復帰を目指すために重要な、精神科デイケアと就労移行支援の違いとそれぞれの活用方法を解説していきます。
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精神科デイケアとは
精神科デイケアとは入院治療は必要ないが社会復帰を目指すために支援を必要とする、精神疾患を持つ人を対象としている外来治療です。
様々なプログラムが用意されており、以下のような効果が期待できます。
- 生活リズムの安定
- 居場所や相談する場所づくり
- 就労に向けての支援
- 対人スキルの向上
- 再発防止(入院日数の減少)
対象となる人は、主治医が精神科デイケアの利用が必要と判断した人です。
デイケアは昼食をはさんで、日中6時間の活動が基本となります。
医療関係者が常駐しているので、調子が悪い時に相談できたり不調の早期発見をしてもらいやすいメリットがあります。
利用期間は個人によって異なりますが、1年〜3年以内であることが多いです。
デイケアは治療の一環ですので健康保険の適応となり、自立支援医療制度の利用で1割負担になります。
就労移行支援とは
就労移行支援とは、一般の企業に就職や在宅で就労・起業を希望する障害をもつ人を対象に、就労を目指すための訓練や支援を行う施設です。
対象者は原則65歳未満で身体・精神・知的障害者、難病があり、就労の希望や見込みがある人です。
就労移行支援には以下のような効果が期待できます。
- 1人1人に合わせた就労支援が受けられる
- 履歴書の書き方やビジネスマナーなど実践的なスキルの習得
- 体調管理や自己管理の方法の修得
- 希望に沿った就労先の紹介
- 就労後の職場定着サポート
身体障害者以外は障害手帳を持っていなくても利用できますが、医師の意見書などが必要になります。
障害者総合支援法で定められた施設であり公的扶助があるため、ほとんどの方が無料で利用できます。(所得によって負担金が発生する場合あり)
利用期限は原則2年間の制限があります。
精神科デイケアと就労移行支援の違い
精神科デイケアの就労支援と就労移行支援は提供するサポートが異なるので、どちらが良いかは個々の状況によります。以下にまとめたので参考にしてください。
精神科デイケアの就労支援がおすすめの場合
- 精神疾患の病状が不安定で、医療的なサポートが必要
- 退院直後など、まずは生活リズムを安定させたい
- 対人関係に不安があり、まずは人との関わりに慣れたい場合
病状や生活リズムが不安定な場合でも、医療者が常駐しているデイケアなら体調に合わせて活動することができるメリットがあります。
退院後すぐに就労したいと焦る方も多いですが、本格的な就労支援を受ける前にデイケアで慣らすことをおすすめします。
実践的な就労訓練より先に対人関係スキルや病気との付き合い方を学んだ方が、将来的な生活の安定につながるというのが理由です。
就労移行支援は2年の利用制限があり、ある程度ステップアップすると安定して通所することが必要になってくるので、まだ安定していないうちはデイケアの方がおすすめです。
就労移行支援がおすすめの場合
- 就労に向けた実践的な支援を受けたい
- 病状は比較的安定し、自己管理ができる
- 取得したい資格がある
- 就労はできそうだが、続けられるか不安
精神科デイケアは病気や障害に対してのケアがメインなので、就労支援はあっても入門編レベルの場合がほとんどです。
一方で就労移行支援は、より実践的な就労に向けた支援や訓練を受けることができます。
精神障害の方の就労の悩みの特徴として、就労はできても長続きせず悩む方が多いというのがあります。
一般的な転職エージェントと異なり、就労移行支援なら就労後もサポートが受けられます。
就労移行支援は安定した就労を目指している方にも有効な支援です。
就労に向けて取得したい資格がある場合も、就労移行支援で資格取得→就労の流れをサポートしてもらうことができます。
福祉施設であり医療者は常駐していないので、ある程度病状や障害が安定している方がよりステップアップを目指すための施設として利用するのがおすすめです。
精神科デイケアと就労移行支援は併用できる!
精神科デイケアと就労移行支援それぞれメリットがあるので、併用したいと考える方もいると思います。
結論として精神科デイケアと就労移行支援は併用が可能ですが、メリットばかりではないのでタイミングをみて併用するのがおすすめです。
以下にメリット・デメリットを解説します。
併用するメリット
精神科デイケアと就労移行支援を併用する最大のメリットは、受けたい支援をバランスよく受けることができることです。
デイケアで医療的サポートを受けながら生活面を整えつつ、就労移行支援で就職に向けてのトレーニングを行うといった利用の仕方もできます。
支援を受けられる先が増えて、相談する窓口が増えて安心できるのもメリットの一つです。
最初は週に1日から就労移行支援を利用し、将来的にはデイケアを卒業するという形で流動的な利用の仕方をしている方もたくさんいます。
特に環境の変化に敏感な方は、デイケアと併用して通うことで徐々に変化に慣れることができるので最初は併用がおすすめです。
併用するデメリット
最大のデメリットは就労移行支援は原則2年間しか受けられないので、デイケアに通う分就労移行支援を受ける時間が短くなる可能性があることです。
最初はゆっくりで問題ないのですが、だんだん就労に向けての活動が本格化すると安定して通所する必要が出てきます。
体力面や病状を考慮しつつ、徐々に就労移行支援に通う日数を増やしていくように調整していく必要があるかもしれません。
利用先が増えると人間関係も増えることになるので、対人関係が負担になりやすい病状だと難しい場合があります。
現在精神科デイケアに通っていて就労移行支援に興味のある方は、デイケアの担当者に相談することをおすすめします。
体調・目的に合わせて就労支援を受ける場所を選ぼう
デイケアは外来治療の一環で生活リズムの獲得や病状の安定がメインであり、就労支援はあくまでプログラムの一つという位置づけになっています。
一方で就労移行支援はより本格的な就労支援が受けられる場所でありますが、医療者の配置はないのである程度病状が安定している方向けの支援です。
デイケア・就労移行支援それぞれに行く意味があるものなので、ご自分の現在の体調や希望をもとに、支援者と相談しながら通所先を選ぶことをおすすめします。
就労移行支援に興味のある方は、ケイエスガードにぜひお問い合わせください。
ケイエスガードは川崎駅徒歩8分のところにある就労支援・就労継続支援B型事業所です。
「初歩から学ぶ!」「楽しく働く!」をモットーに、利用者一人一人が自分が好きになれるような就労支援を行っています。
就労支援だけでなく、工賃(給与)の日払いもできる軽作業、障害年金の申請サポート、住宅支援など様々なサポートも行っています。
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